
介護業界で外国人材の採用が進む中、「日本語能力試験(JLPT)N3レベル」を採用条件として設定する施設が増えています。しかし、N3とは具体的にどの程度の日本語力を指すのでしょうか。
「N3を持っていれば現場で問題なく働けるのか」「N4やN2とは何が違うのか」「登録支援機関によって同じN3人材でも差が出るのはなぜか」、こうした疑問を持つ施設長・人事担当者の人も多いはずです。
本記事では、日本語能力試験(JLPT)の基礎から、N3レベルの難易度・試験内容・合格率までをわかりやすく解説するとともに、介護現場でN3人材を受け入れる際に知っておくべきポイントを整理します。外国人介護人材の採用や、登録支援機関の見直しを検討されている人は、ぜひ参考にしてください。
Contents
日本語能力試験(JLPT)とは

日本語能力試験(JLPT:Japanese-Language Proficiency Test)は、日本語を母国としない人を対象に、日本語の理解度や運用能力を測定するための国際的な試験です。試験は日本国内だけでなく海外でも実施されており、日本語能力を客観的に示す指標として、就学・就労・在留資格の場面で広く活用されています。
特に介護分野においては、外国人材の採用にあたって「どの程度日本語が理解できるのか」を判断する必要があります。JLPTは、感覚的な評価ではなく、共通基準で日本語力を把握できる点が大きな特徴です。そのため、多くの介護施設や登録支援機関が、採用条件や教育方針を決める際の参考指標として活用しています。
日本語能力試験(JLPT)は5段階評価
日本語能力試験(JLPT)は、難易度別にN1からN5までの5段階に分かれています。数字が小さいほど難易度が高く、N1が最上位、N5が初級レベルです。以下は、それぞれのレベルの目安を比較した一覧です。
| レベル | 日本語力の目安 | 主な理解内容 |
| N1 | 上級 | 抽象的・論理的な文章や専門的な内容を理解できる |
| N2 | 準上級 | 日常的な話題に加え、新聞記事や説明文をおおむね理解できる |
| N3 | 中級 | 日常生活に関連した文章や会話をある程度理解できる |
| N4 | 初中級 | 基本的な日本語表現を使った会話や文章を理解できる |
| N5 | 初級 | あいさつや簡単な表現など、基礎的な日本語を理解できる |
介護現場では、N4以下では業務上の指示や記録内容の理解が難しいケースも多く、一定の日本語能力を担保する基準としてN3が設定されることが一般的です。一方で、N2以上は取得までに時間がかかるため、現実的な採用ラインとしてN3が選ばれるケースが増えています。
日本語能力試験(JLPT)のN3レベルとは
日本語能力試験(JLPT)N3は、「日常生活でも使われる日本語をある程度理解できる」レベルと位置づけられています。具体的には、身近な話題について書かれた文章を読み取り、日常会話の大まかな内容を把握できる力が求められます。
ただし、N3を取得しているからといって、専門用語が多い介護現場で即戦力として働けるわけではありません。あくまで、基本的な日本語でのコミュニケーションが可能な「スタートライン」に立っている状態と考えるのが現実的です。
介護記録の細やかな表現や、利用者の体調変化を正確に聞き取る場面では、追加の研修や現場でのフォローが欠かせません。そのため、N3レベルの人材を受け入れる際には、日本語教育や定着、支援をどこまで行えるかが、採用成功の鍵です。
N3で求められる日本語力【読む力】
日本語能力試験(JLPT)N3レベルでは、日常生活に関連した文章を「大意として理解できる力」が求められます。短い文章やお知らせ、案内文などを読み、内容の流れや要点を把握できることが前提です。
介護現場に置き換えると、N3レベルの人材は、勤務表や業務マニュアルの簡単な説明、申し送り事項の要点を読むことが可能です。また、利用者の状態に関する基本的な記録についても、「何が書かれているか」を理解する力は備えています。
一方で、抽象的な表現や専門用語が多い文章、長文の記録になると理解が追いつかないケースもあります。そのため、記録様式をわかりやすく統一したり、専門用語を事前に共有したりするなど、現場側の工夫が重要です。N3は「読めるが、支援が必要な段階」と認識するとよいでしょう。
N3で求められる日本語力【聞く力】
N3レベルでは、日常的なスピードで話される日本語を聞き取り、会話の要点を理解する力が求められます。ゆっくりであれば、身近な話題についての会話をおおむね把握できるレベルです。
介護現場では、上司や先輩職員からの口頭指示、利用者からの簡単な要望を聞き取ることができます。「次に何をすればよいか」「今どの対応が必要か」といった基本的な指示理解は可能です。
ただし、複数の指示が一度に出された場合や、早口・方言・専門用語が混じる会話では、聞き漏らしが起きやすくなります。そのため、指示を一つずつ伝える、復唱を促すなどの配慮が必要です。聞く力についても、N3は「実務に入れる最低限の基礎力」と考えるのが現実的です。
日本語能力試験(JLPT)N3の難易度

日本語能力試験(JLPT)N3は、初級から中級へ移行する段階の試験であり、外国人学習者にとって一つの大きな壁とされています。N4までは基礎的な表現の習得が中心ですが、N3からは文章力や語彙力が増え、文脈を理解する力が求められます。
特に、読む・聞くの両分野で「部分的な理解」ではなく、「全体像の把握」が必要になる点が、難易度を高く感じさせる要因です。介護分野で働く外国人材にとっても、業務と並行して学習を続ける必要があるため、負担は決して小さくありません。
そのため、N3取得者は一定の努力と学習時間を積み重ねてきた人材であり、日本で働く意欲や継続力の指標として評価されることもあります。
N3試験の学習時間の目安
日本語能力試験(JLPT)N3に合格するまでの学習時間は、学習者の日本語レベルや学習環境によって差がありますが、一般的には約450〜600時間が目安とされています。
日本語学習をゼロから始めた場合、N5から段階的に学習を進める必要があり、N3到達までには相応の時間がかかります。海外在住者の場合は、学習時間を十分に確保できるかどうかが、合否に大きく影響します。
このような背景から、入国時点でN3レベルに到達している人材は、一定の日本語学習環境と支援体制のもとで育成されてきた可能性が高いといえます。
N3試験の学習量の目安
N3レベルでは、語彙・文法ともに学習量が大きく増えます。一般的には、語彙数は約3,500語程度、漢字は約650字程度が目安とされています。
これらを単に暗記するだけでなく、文章や会話の中で使いこなせるようにする必要があります。そのため、継続的な学習環境と、実践的な日本語教育が欠かせません。
介護施設がN3人材を受け入れる際には、「取得している資格」だけでなく、「どのような教育を受けてきたか」「入国後も日本語学習を継続できる環境があるか」を確認することが重要です。
日本語能力試験(JLPT)のN3レベルの試験概要
日本語能力試験(JLPT)N3は、「言語知識(文字・語彙・文法)」と「読解」、「聴解」の3つの分野で構成されています。N1・N2のような記述式ではなく、すべて選択式で出題される点が特徴です。
試験時間は合計で約140分となっており、一定時間集中して日本語を処理する力が求められます。単語や文法の知識だけでなく、文章全体の流れを理解する力や、会話の要点を聞き取る力が総合的に評価されます。
介護分野の採用担当者にとって重要なのは、N3が「会話試験」ではなく、「理解力」を図る試験である点です。実際の業務では発話力も重要になりますが、N3はまず「読む・聞く」基礎力を客観的に確認する指標として活用されています。
日本語能力試験(JLPT)のN3レベルの問題例
N3の問題は、日常生活や身近な場面を想定した内容が中心です。例えば読解問題では、案内文や説明文、短い文章などを読み、内容に合った選択肢を選ぶ形式で出題されます。
聴解問題では、日常会話や簡単な業務連絡を聞き、話の要点や話者の意図を理解できているかが問われます。会話は比較的ゆっくりとしたスピードですが、話の流れを追う力が必要です。
介護現場に置き換えると、N3レベルの問題は「申し送り内容を聞いて概要を理解する」「簡単な注意事項を読んで行動に移す」といった場面に近いといえます。ただし、専門用語や個別対応が多い現場業務そのものを想定しているわけではないため、試験合格と実務能力は必ずしも一致しない点には注意が必要です。
日本語能力試験(JLPT)のN3レベルの合格点・合格率
日本語能力試験(JLPT)N3の合格基準は、総合得点180点満点中95点以上を取得し、あわせて各試験区分で基準点を満たすこととされています。いずれかの区分で極端に点数が低い場合は、総合点を満たしていても不合格となる仕組みです。
N3の合格率は、実施年度や試験回によって変動はあるものの、おおむね30〜40%前後で推移しています。この数値からも分かるように、N3は「誰でも簡単に取得できる資格」ではなく、一定の学習量と継続的な努力が求められるレベルです。
また、日本語能力試験では、国・地域別の受験者数や合格率が公式に公表されています。
これらの統計を見ると、N3の合格率には国や地域によって一定の差があることが分かります。日本語教育機関が整備され、日本での就労を目的とした体系的な教育が行われている国や地域では、比較的安定した合格率が見られる傾向があります。
一方で、日本語学習の環境や指導体制にばらつきがある地域では、同じN3合格者であっても、日本語の理解度や運用力に差が生じるケースがあります。そのため、介護施設が外国人材を採用する際には、「N3を取得しているかどうか」だけでなく、「どのような教育環境でN3を取得したのか」「入国後にどのような日本語支援が受けられるのか」を確認することが重要です。
N3は、外国人介護人材として働くための一定の基礎力を示す指標である一方、実務で力を発揮できるかどうかは、入国後の研修や支援体制によって大きく左右されます。登録支援機関の支援内容が、定着率や成長スピードに直結するといえるでしょう。
まとめ
日本語能力試験(JLPT)N3は、外国人介護人材が日本で働くうえで、一定の日本語理解力を備えていることを示す重要な指標です。日常生活に関連した文章を読み、会話の要点を理解できるレベルであり、介護現場においても基本的な指示理解やコミュニケーションが可能な「スタートライン」といえます。
一方で、N3を取得しているからといって、すぐに現場で十分な力を発揮できるわけではありません。専門用語の理解や、利用者一人ひとりに合わせた対応には、入国後の研修や継続的な日本語学習、現場でのフォローが欠かせません。同じN3合格者であっても、教育環境や支援体制の違いによって、実務能力や定着率に差が生じることがあります。
そのため、外国人介護人材の採用を成功させるためには、「N3という資格の有無」だけを見るのではなく、どのような教育を受けてきた人材なのか、入国後にどのような支援が提供されるのかを含めて判断することが重要です。
登録支援機関の役割には、単なる手続き代行にとどまらず、外国人材が現場に定着し、長期的に活躍できる環境を整えることにあります。
日本語能力試験N3は、ゴールではなく、介護人材として成長していくための出発点です。適切な研修と手厚いサポート体制があってこそ、外国人材は安心して働き続けることができ、施設側にとっても安定した人材確保につながります。こうした視点を持つことが、外国人介護人材の採用・定着を成功させる第一歩となるでしょう。
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