実務者研修の費用はどれくらい?相場と補助金を解説

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「実務者研修の費用ってどのくらいかかるのだろう?」

「高い受講料を抑える方法を知りたい」

実務者研修の受講を検討している方の中には、高額な費用に悩む方も多いのではないでしょうか。実務者研修は、介護職員のスキルアップに欠かせない研修です。受講に必要な費用は様々で、スクールや所有資格によっても異なります。

この記事では、実務者研修にかかる具体的な費用や安く抑える方法、初任者研修との違いについて詳しく解説します。ハローワークや給付金を利用した費用軽減策も紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

Contents

介護福祉士実務者研修の費用相場は?

実務者研修の費用は一律ではありません。実務者研修の全国的な費用相場は約3万円から20万円と幅があります。費用の幅が広い理由は、スクールや地域による差に加えて、保有している資格によって免除されるカリキュラムがあるためです。免除が大きければその分授業時間が減り、安い費用で受講できます。
また保有資格の違いだけでなく、実務者研修の受講料はスクールによって金額が異なります。さらに、同じスクールでもエリアによって受講料が変わることもあります。

保有資格による受講料の差

実務者研修の費用は、保有する資格によって免除される科目数が変わります。より上位の資格があるほど免除数が増え、受講料が安くなります。保有資格別の受講費用の目安は以下のとおりです。

保有資格受講費用の目安
介護系の資格を持っていない人14万円~22万円
介護職員初任者研修を修了者8万円~19万円
ホームヘルパー2級を修了者8万円~19万円
ホームヘルパー1級を修了者7万円~10万円
喀痰吸引等研修を修了者7万円~10万円
介護職員基礎研修修了者3万円~5万円
保有資格別の受講費用

保有資格別カリキュラムの違い

実務者研修は450時間に及ぶカリキュラムが国によって定められていますが、保有資格によっては、すでに習得した内容と重複する科目が免除されます。 以下に、保有資格と免除科目をまとめました。

科目無資格ヘルパー3級ヘルパー2級初任者研修ヘルパー1級介護職員基礎研修
人間の尊厳と自立5時間免除免除免除免除免除
社会の理解 I5時間免除免除免除免除免除
社会の理解 II30時間30時間30時間30時間免除免除
介護の基本10時間10時間免除免除免除免除
介護の基本 II20時間20時間免除20時間免除免除
コミュニケーション技術20時間20時間20時間20時間免除免除
生活支援技術 I20時間免除免除免除免除免除
生活支援技術 II20時間30時間免除免除免除免除
介護過程 I20時間20時間免除免除免除免除
介護過程 II25時間25時間25時間25時間免除免除
介護過程 III
(スクーリング)
45時間45時間45時間45時間45時間免除
発達と老化の理解 I10時間10時間10時間10時間免除免除
発達と老化の理解 II20時間20時間20時間20時間免除免除
認知症の理解 I10時間10時間10時間免除免除免除
認知症の理解 II20時間20時間20時間20時間免除免除
障害の理解 I10時間10時間10時間免除免除免除
障害の理解 II20時間20時間20時間20時間免除免除
こころとからだの
しくみ I
20時間20時間免除免除免除免除
こころとからだの
しくみ II
60時間60時間60時間60時間免除免除
医療的ケア50時間50時間50時間50時間50時間50時間
総受講時間数450時間420時間320時間320時間95時間50時間
保有資格別カリキュラムの違い

このように、保有している資格が科目よりも高度な場合や、すでに身についている介護の知識や技術である場合は、免除される科目が増えます。なおこの減免措置には規定があり、すべてのスクールで一律です。

スクールによって費用が変わる理由

実務者研修の費用に差が生じる主な理由を紹介します。スクールを選ぶ際の参考にしてください。

教材や通信・通学の差

スクール毎に教材の違いが受講料に影響します。受講料の差は研修内容の差ではありません。 安いスクールが質の悪い教材を使っているわけではありません。教材費を受講料にどれくらい含んでいるかによる差が大きいです。加えて受講スタイルも違いがある要因です。実務者研修は、通信講座と通学を併用と、通学のみで選べます。通信講座のみはありません。

エリアと立地の問題

通学のみで授業を開催しているスクールの場合は、授業を行う場所を確保する必要があり、それなりに広さのある施設を保有しています。維持費がかかり、人件費も増えるため、併用スタイルと比べると費用が高くなりやすいです。また、主要都市の駅から近いほど、維持運営費は高くなる傾向にある為、受講料に影響します。反対に駅から離れたスクールであれば比較的受講料が安い傾向にあります。

サポート体制の充実度

スクールによっては受講後のサポートが手厚いところもあり、その為受講料が高くなっている場合もあるそうです。 専門のアドバイザーが就職支援を行うなど資格取得後の就職サポートを行うスクールもあります。

スケジュールに融通が利くかどうか

働きながら取得する人が多い実務者研修は、スクールに通える日時が人によって違います。そのため、カリキュラム日程の振り替えが無料、授業の間隔が広いなど、受講スケジュールに融通が利くほど受講料が高くなります。特に土日や夜間開催など、特別なスケジュールで受講できるスクールは、便利な分受講料も高めです。 受講費用を高く設定していることがあります。

キャンペーン実施の有無

タイミングによっては割引キャンペーンを行っているところもあります。友人紹介や学割など様々です。 常に行っているわけではないので、検討中にキャンペーンが行っている場合は前向きな検討が良いでしょう。

費用の比較:通信講座 vs 通学講座

介護福祉士実務者研修の取得方法には、スクールに通う方法と、通信講座を利用して自宅で学習する方法の2つがあります。どちらの方法も、履修内容は同じです。また、通信講座を受講する場合でも、所定の受講内容はスクールへの通学が必要です。

◯通学講座のメリット・デメリット

・メリット

  • 直接講師に質問や指導が受けられる
  • 他の受講者と一緒に学ぶことでモチベーションを維持しやすい
  • 質問しやすいため介護職の経験が少なくても学習しやすい

・デメリット

  • 通学にかかる交通費や時間が必要
  • 通信講座よりも費用が高くなることがある
  • 固定のスケジュールに従う必要があり、柔軟性に欠ける

◯通信講座のメリット・デメリット

・メリット

  • 自宅での学習が多く、交通費や時間を節約できる
  • 自分のスケジュールに合わせて学習時間や場所を調整できる
  • 費用が通学講座よりも安いことが多い

・デメリット

  • 勉強のペース配分など自己管理能力が求められる
  • 直接講師に質問できる機会が少ない
  • 孤独感を感じやすく、モチベーションを維持するのが難しい場合がある

通学講座は、教室で講師から直接指導を受け、仲間と一緒に学ぶことでモチベーションを維持しやすいメリットがあります。カリキュラムの全科目をすべてスクールで受講し、「日中のみ」「夜間のみ」「土日のみ」など、スクールによって異なるコースから選択できます。直接講師に質問できるため、介護職の経験がなくても学びやすいです。

一方、通信講座は主に自宅で学習するため、通学に必要な交通費や時間を節約できる点が魅力です。ただし、スケジュール通りに進めるための自己管理能力が求められます。テキストやWeb講義を見ながら学習し、レポート提出と添削指導を受けながら進めます。仕事や育児と両立したい人や、一定レベル以上の介護分野の基礎知識を持っている人に適した方法です。

どちらの方法を選ぶかは、個々のライフスタイルや学習スタイルに合わせて決めると良いでしょう。通信講座は費用を抑えたい人や自宅で学習したい人に適しており、通学講座は直接指導を受けたい人や仲間と一緒に学びたい人に向いています。

実務者研修のスクールを選ぶときのポイント

働きながら受講するケースが多い実務者研修。無理なく修了するために、スクール選びのポイントをします。

授業の時間や曜日を選べる

実務者研修で修了しないといけない科目と時間数は決まっていますが、どのようなスケジュールを組むかはスクールが自由に決められますので、スクールの通いやすさはとても重要です。

午前・午後・夜間等開講時間が幅広いところなら、自身の生活リズムに合わせて無理なく通えるでしょう。

授業の振替や受講期間の延長ができる

実務者研修は原則遅刻や早退は認められません。時には急な残業や家庭の都合、体調不良などで受講できないこともあるでしょう。 そのような場合に備えて、授業の振替がしやすいスクールを選ぶとよいでしょう。

質疑応答がしやすい

授業を受けている中で、質問、疑問がある場合その場で解決できるよう質疑応答しやすい環境かどうかは重要です。 直接質問する他、電話やメールなど様々な手段で担当講師がサポートしてくれるスクールもあるので、親身になって学生をサポートしてくれるスクールなら安心です。

実務者研修の費用を抑えたいときは

実務者研修を受けたいがなるべく費用を抑えたいという方もいると思います。

スクールが独自に行っているキャンペーン以外にも実務者研修費用を抑える方法として以下の手段があります。

  • 一般教育訓練給付金制度
  • 求職者支援制度
  • 市区町村など自治体の支援制度
  • 事業所の資格取得支援制度

それぞれ紹介します

一般教育訓練給付金制度

一般教育訓練給付金制度は、仕事に必要な資格を取得する際に費用を国が補助してくれる制度です。

再就職支援の為にハローワークが実施しており、実務者研修を修了した場合、受講費用として支払った金額の20%がハローワークから支給されます。 ただし、上限は10万円、支払った金額が4,000円以上など諸条件はあります。

求職者支援制度

求職者支援制度は、雇用保険を受給できず、ハローワークから支援指示を受けた人が実務者研修など定められた職業訓練を無料で受講できる制度です。職業訓練期間中は生活支援として月額10万円の給付金が支給されます。

また2023年4月からは給付金は支給されませんが在職中の方も受講できるようになります。

市区町村など自治体の支援制度

介護人材の確保と定着を図ることを目的に、各自治体で介護の資格取得支援を実施している場合があります。自治体の助成金や補助金、給付金の一部をご紹介します。

介護職員資格取得支援事業

実務者研修の受講料の一部、もしくは全額を自治体が補助する事業。各都道府県や市区町村で実施していることが多い。

介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度

条件を満たせば、借りた実務者研修の受講費用の返済が免除になる制度。各都道府県の社会福祉協議会などが実施していることが多い。

都道府県や市区町村によって対象や補助金額は異なるため、ご自身がお住まいの自治体に事前に確認しましょう。

事業所の資格取得支援制度を利用する

介護事業所に就職した後、事業所の「資格取得支援制度」を利用して実務者研修を安く取る方法もあります。資格取得支援制度とは、介護事業所・企業が自社職員に対して資格取得のサポートを行う制度のことです。
事業所によりますが、主な資格取得支援制度の内容は以下です。

資格取得にかかる費用を事業所が負担してくれる(全額or一部負担)

研修受講日も出勤扱いになる

資格取得支援制度の内容は事業所によって異なるため、どのような支援があるかはご自身で事前に確認しましょう。
しかし、資格取得支援制度を実施していない事業所も多い上、資格を取る前は任せられる仕事が少ないというデメリットもあります。

助成金や補助金を受ける際の注意点

助成金や補助金を受給する際は、不正受給とならないように注意しましょう。

助成金、補助金は自治体や種類によって受給要件が異なります。

要件を満足していない状態で申請・受給してしまうと不正受給扱いになるので注意しましょう。

介護福祉士実務者研修の基本情報

介護福祉士実務者研修は、介護職の専門知識と技能を習得するための重要なステップであり、介護福祉士の受験資格を得るために欠かせない研修です。主に介護現場での実務経験を持つ方が受講対象となり、研修内容には介護技術の向上や実践力の強化が含まれています。

ここでは、

  • 介護福祉士実務者研修の概要と目的
  • 初任者研修との違い

の2点について、詳しく解説します。

介護福祉士実務者研修の概要と目的

介護福祉士実務者研修は、介護福祉士になるために必要な基礎知識と技術を学ぶための重要な研修です。この研修の目的は、介護職員が質の高い介護サービスを提供するために実践的な知識と技術を身につけることにあります。平成24年に開始され、翌年にはホームヘルパー1級および介護職員基礎研修と一本化されました。

平成28年度からは、介護福祉士の受験資格を得るために実務者研修の修了が必須となっています。この研修で求められるのは、介護職員としての専門性を高め、利用者に対して質の高いサービスを提供することです。また、介護福祉士国家試験の受験資格を得ることでキャリアアップの道も開かれます。実務者研修は、介護職員にとって非常に価値のある研修です。

初任者研修との違い

初任者研修は、介護の基礎を学ぶ研修です。実務者研修は、初任者研修の上位に位置し、より専門的な知識と技術を学びます。ここでは、具体的なカリキュラムや資格取得後のキャリアパスの違いについて解説します。

初任者研修と実務者研修の違いを、以下の表にまとめました。

項目初任者研修実務者研修
受講の目的介護現場で即戦力として働くための基本的な知識・技術を学ぶ介護福祉士として必要な専門的知識やスキルを習得する
終了試験の有無ありなし(スクールによって異なる)
費用7〜8万円3〜22万円(所有している資格によって異なる)
介護福祉士の受験資格得られない得られる(ただし3年以上の実務経験が必要)
サービス提供責任者なれないなれる
受講科目9科目20科目
受講時間130時間450時間
終了までの期間最短1ヶ月約3ヶ月半
学習内容介護の基礎的な知識やスキル介護の専門的な知識と技術

・厚生労働省.「実務者研修における他研修等の修了認定の留意点について」.令和6年版,2024.https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_11.pdf(参照 2024-07-14)

介護職員初任者研修の内容については、こちらで詳しく紹介しています。初任者研修を受講し、転職をお考えの方は、ぜひご覧ください。

ここでは、介護福祉士実務者研修の費用を抑える方法を6つ紹介します。受講費用が返ってきたり、免除されたりする方法なので、参考にしてください。

具体的には、

  1. 一般教育訓練給付金制度
  2. ハローワークでの費用免除
  3. 自治体の支援制度(例・静岡市)
  4. ひとり親自立支援事業
  5. 会社からの資格取得支援制度
  6. 助成金や補助金を受ける際の注意点

の6つです。それでは順番に解説していきます。

一般教育訓練給付金制度

一般教育訓練給付制度とは、働く人々の能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を目的とした制度です。この制度では、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した場合に、受講費用の一部が支給されます。

一般教育訓練給付金制度を利用することで、受講費用の20%(上限10万円)が返ってきます。制度の利用条件と申請方法については、以下を参考にしてください。

◯利用条件

  1. 雇用保険の加入期間

原則として、過去に雇用保険に3年以上加入していること(初めて利用する場合は1年以上)

  1. 対象講座

厚生労働省が指定する教育訓練講座であること

◯申請方法

  1. 受講前の準備

受講開始前にハローワークでの事前申請は不要

  1. 受講後の手続き

受講終了後、1ヶ月以内に必要書類をハローワークに提出。必要書類には受講証明書、支払証明書、給付金支給申請書などがあります。

・厚生労働省.「教育訓練給付制度」. 令和6年版, 2024. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html(参照 2024-07-14)

ハローワークでの費用免除

ハローワークを利用して、実務者研修の費用の一部を免除する方法があります。ハロートレーニングという国の支援制度を利用すると、原則受講料は無料(テキスト代は自己負担)です。全国のハローワークで申し込みや相談が可能です。

ハロートレーニングには、雇用保険を受給している人向けの公共職業訓練(離職者訓練)と、雇用保険を受給していない人向けの求職者支援訓練があります。ハローワークや訓練実施機関が、積極的に就職支援します。

公共職業訓練では、要件を満たすと離職前の賃金に応じた基本手当のほか、日額500円の受講手当や通所手当を受給することが可能です。求職者支援訓練では、職業訓練受講給付金として月額10万円と通所手当が支給されます。

主な要件は、以下のとおりです。

  • 本人の収入が月8万円以下
  • 世帯全体の収入が月25万円以下
  • 世帯全体の金融資産が300万円以下
  • すべての訓練日に参加しているなど

詳細は厚生労働省のホームページで確認してください。

・厚生労働省.「ハロートレーニング」. 令和6年版, 2024. https://www.mhlw.go.jp/hellotraining/(参照 2024-07-14)

・厚生労働省.「求職者支援制度のご案内」. 令和6年版, 2024. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html(参照 2024-07-14)

自治体の支援制度(例・静岡市)

各自治体が提供する支援制度を利用することで、受講料の一部を免除してもらえる場合があります。例えば、静岡市が実施しているのは、「介護福祉士実務者研修に関する費用の支援制度」です。ここでは、詳細な内容や申請方法について説明します。

◯静岡市の介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度の詳細と申請方法

・制度の概要

介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度は、静岡県内に住む介護職員を対象に、研修費用の一部を無利子で貸付ける制度です。

この制度では、授業料、実習費、教材費、交通費、国家試験の受験手数料など、最大20万円が貸し付けられます。なお、静岡県内の介護施設で2年間勤務すれば、返済が免除されます。

・対象者の条件

  • 静岡県内に住民登録があること
  • 介護の実務経験が3年以上あること
  • 研修修了後、静岡県内で介護業務に2年間従事すること

・申請手続き

  1. 申請書類の準備
  • 申請書
  • 住民票
  • 雇用証明書
  • 研修受講証明書
  1. 提出先
  • 申請書類を静岡県社会福祉協議会に提出
  1. 審査と結果通知

審査を経て、貸付決定通知が届きます。

4.返済免除

  • 研修修了後、静岡県内で介護業務に2年間従事すると返済が免除されます。

詳細は静岡県の公式ホームページおよび、以下のリンクをご確認ください。

・静岡県. 「介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度」. 令和5年版, 2023. https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/koreifukushi/kaigohoken/1040743/1002945/1022689.html(参照 2024-07-14)

ひとり親自立支援事業

ひとり親自立支援事業は、ひとり親家庭の経済的自立をサポートするための制度です。この事業では、介護福祉士実務者研修を受講する際の費用が返ってくる支援を受けられます。

具体的には、受講料の60%が給付金として支給される「自立支援教育訓練給付金」と、受講期間中の生活費として、毎月10万円が支給される「高等職業訓練促進給付金」があります。これにより、ひとり親家庭の経済的負担を軽減し、資格取得を通じて安定した収入を得られるようサポートを受けることが可能です。

給付金概要
自立支援教育訓練給付金母子家庭の母または父子家庭の父が、対象教育訓練を受講・修了した場合、その経費の60%が支給されます。上限は20万円(一般教育訓練給付の場合)または最大160万円(専門実践教育訓練給付の場合)です。
高等職業訓練促進給付金母子家庭の母または父子家庭の父が、6ヶ月以上の養成機関で修業する場合に支給されます。市町村民税非課税世帯では月額100,000円、課税世帯では70,500円。修業期間の最後の12ヶ月は、非課税世帯で140,000円、課税世帯で110,500円です。

※運営主体は自治体です。名称や詳細内容については、それぞれ異なるため、お住まいの自治体のホームページなどでご確認ください。

・こども家庭庁.「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業について」.令和6年版, 2024. https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/jiritsu-shien-kyuufukin/(参照 2024-07-14)

介護福祉士実務者研修を取得するメリット

ここでは、介護福祉士実務者研修を取得するメリットを5つ紹介します。具体的には、

  1. 仕事の幅が広がり活躍の場が増える
  2. 資格取得による給与アップが見込める
  3. サービス提供責任者を目指せる
  4. 喀痰吸引や経管栄養の知識が身につけられる
  5. 介護福祉士の受験資格を満たせる

の5つです。それでは順番に解説していきます。

仕事の幅が広がり活躍の場が増える

介護福祉士実務者研修を修了すると、仕事の幅が広がり、活躍の場も増えます。この研修では、高度な介護技術や知識を習得し、より専門的な業務に従事できるようになります。例えば、喀痰吸引や経管栄養といった医療的ケアを学び、多様なニーズに対応することが可能です。

近年では、特別養護老人ホームや老人保健施設、グループホームなどで、看取りや医療ケアを提供する機会が増えています。そのため、喀痰吸引や経管栄養のスキルを持つ介護職員は、施設にとっても非常に貴重な存在です。また、実務者研修を修了することで、介護現場での責任あるポジションに就く機会が増え、キャリアアップにもつながります。

介護福祉士実務者研修を取得し、習得したスキルを転職に活かしたいと考えている方は、こちらをご覧ください。

資格取得による給与アップが見込める

実務者研修を修了すると、資格手当などが支給されるため、給与の増加が期待されます。令和4年度の厚生労働省の調査によると、資格ごとの平均給与は以下の通りです。

所有資格平均給与額(円)
実務者研修302,430
介護福祉士331,080
ケアマネジャー376,770
介護職員初任者研修300,240
保有資格なし268,680

実務者研修を修了した人の平均給与は、無資格の人よりも3万円以上高いことが分かっています。さらに、介護福祉士の資格を取得すると、給与は約3万円アップします。このデータから、介護業界では資格の取得が給与に大きく影響することは明らかです。

・厚生労働省.「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」. 令和4年版, 2022. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf#page=166 (参照 2024-07-14)(P.157)

サービス提供責任者を目指せる

介護福祉士実務者研修を修了すると、サービス提供責任者としてのキャリアを目指せます。サービス提供責任者(サ責)の役割は、訪問介護サービスの利用者が適切なサービスを受けられるよう支援することです。

具体的には、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき「訪問介護計画書」を作成します。また、ヘルパーの指導や利用者およびその家族との面談も行います。実務者研修を修了することで、訪問介護事業所で就職する選択肢が広がります。

喀痰吸引や経管栄養の知識が身につけられる

実務者研修では、医療行為である喀痰吸引や経管栄養を学ぶことができます。喀痰吸引は、口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部のたんや唾液、鼻汁を機械で吸引することを指します。経管栄養は、胃や腸にチューブやカテーテルを使って直接栄養を注入する方法です。

これらの医療的ケアは介護施設でのニーズが高まっており、医療職の人手不足も深刻化しています。そのため、医療的ケアができる介護職員は非常に貴重です。実務者研修を受講することで専門性を高め、キャリアアップの機会も広がります。

介護福祉士の受験資格を満たせる

実務者研修を修了すると、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。平成28年度からは、実務経験3年以上(540日従事)に加えて、実務者研修の修了が必須となりました。

介護福祉士を受験するには、以下の3つのルートがあります。

  • 実務経験ルート
  • 養成施設ルート
  • 福祉系高校ルート

「実務経験ルート」では、3年以上の実務経験と実務者研修の受講が必要です。詳細は、社会福祉振興・試験センター公式ホームページをご覧ください。

・公益財団法人社会福祉振興・試験センター.「介護福祉士国家試験 受験資格」. 令和6年版, 2024.https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html (参照 2024-07-14)

まとめ

今回は、介護福祉士実務者研修の費用に関して解説しました。ここでは、記事全体のまとめと要点を確認します。

介護福祉士実務者研修の総括

実務者研修は、介護職員に必要な知識とスキルを習得し、質の高い介護サービスを安定して提供するための研修です。受講費用は資格によって異なり、無資格の場合は12〜22万円、初任者研修を取得している場合は7〜19万円に抑えられます。さらに、一般教育訓練給付金制度やハローワークの支援、自治体の補助金を利用して費用を軽減することが可能です。

研修修了後は、喀痰吸引や経管栄養といった医療的ケアを身につけられ、訪問介護事業所のサービス提供責任者として働く要件も満たせます。また、介護福祉士国家試験の受験資格も得られます。平成28年度以降は、実務経験3年以上に加え、実務者研修の修了が受験資格の条件となりました。

資格を取得することで、周囲からの評価が高まり、給与の向上やキャリアの幅を広げることが可能です。厚生労働省によると、無資格者に比べて月額給与が3万円以上高いことが報告されています。介護職としてのキャリアを考えるなら、実務者研修は必ず取得しておきたい資格です。

今後の展望とアドバイス

介護業界では、資格の有無がキャリアに大きく影響します。無資格でも介護施設での勤務は可能ですが、給与アップやキャリアアップを望むなら資格取得が欠かせません。

超高齢社会を迎えた日本では、介護ニーズが増加しています。政府も高いスキルを持つ介護職員の処遇改善を進めており、介護福祉士の資格がその一例です。無資格者との給与差は、年々拡大しています。

さらに、実務者研修を受講すると医療的ケアを身につけることが可能です。看取りケアを行う介護施設が増加している中、特別養護老人ホームやグループホームでは、医療的ケアを提供できる介護職員を高い給与で採用する動きがあります。

実務者研修を受講することで、介護職員としての将来は大きく広がります。専門性を高め、質の高い介護サービスを提供することで、利用者や周囲のスタッフからの信頼を得られるでしょう。

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