生活援助従事者研修を考えている方必見。研修の目的や受講の流れ、必要な費用について詳しくご紹介します。
Contents
生活援助従事者研修ってどんな資格?
「生活援助従事者研修ってどんな内容なんだろう?」
「どこで受講できて、費用はどれくらいかかるの?」
そんな疑問をお持ちではありませんか?
生活援助従事者研修は、介護の基礎知識を学び、実践的なスキルを習得するための公的な資格です。資格を取得すれば、家事のサポートを行うホームヘルパーとして働けます。
この記事では、研修の目的や意義、受講方法や費用、さらに他の資格との違いについて詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。
生活援助従事者研修の概要
ここでは、生活援助従事者研修の概要について2つを紹介します。具体的には、
- 研修の目的と意義
- 受講のための条件と流れ
の2つです。それでは順番に解説していきます。
研修の目的と意義
生活援助従事者研修は、訪問介護の現場で必要とされる基本的なスキルを身につけるための公的な研修です。都道府県または都道府県知事の指定した機関が主体となって、研修を実施します。
「生活援助」とは、掃除や買い物などを中心としたサポートのことです。この研修では、排泄や入浴の介助といった、利用者に直接触れる身体介助は含まれていません。そのため、初めて介護資格を取得する方にも取り組みやすい研修と言えます。
生活援助従事者研修の目的は、以下のとおりです。
- 訪問介護に関する基礎的な知識を学ぶ
- 日常生活の支援(生活援助)に関する技術を習得する
- 介護に必要な実践力を養う
この研修は比較的短期間で修了できるため、忙しい方でも無理なく受講できます。研修を通じて、自分が介護職に向いているかどうかを見極める良い機会にもなります。このように、生活援助従事者研修は、新たに介護分野でチャレンジしたい方にぴったりの資格です。
受講のための条件と流れ
研修の受講には、特別な条件はありません。介護に興味がある方、家族の介護に役立てたい方、ボランティア活動に活かしたい方、または就職や転職を考えている方など、幅広い層の方々が対象です。研修は各都道府県や指定された機関で実施されており、申し込みは公式ウェブサイトや窓口で行います。
受講料は研修機関によって異なりますが、一般的には18,000〜30,000円程度です。さらに、一部の自治体では、特定の条件を満たすと無料で受講できる場合もあります。カリキュラムは全59時間で構成されており、忙しい方にも対応できるよう、一部はオンライン受講が可能です。
研修の期間はおよそ2ヶ月で、全てのカリキュラムを修了し、修了試験に合格すると修了証が発行されます。受講者の募集は通常、研修開始日の2ヶ月前から行われるため、定員が埋まることも考えられます。早めにホームページなどで情報を確認し、申し込みを進めるのが賢明です。興味のある方は、ぜひ早めに行動するよう心がけてください。
生活援助従事者研修のカリキュラム
この研修では、介護現場で役立つ実践的なスキルを習得します。研修の目的は、受講者が実際の介護現場で自信を持って対応できるよう、基本的な知識から実践的な技術まで幅広く学ぶことです。ここでは、具体的なカリキュラムの内容と研修を通じて得られるスキルについて、詳しく解説します。次の2つのポイントを中心に説明していきます。
具体的には、
- 研修の主な内容
- 研修の実施方法と期間
の2つです。それでは順番に解説していきます。
研修の主な内容
生活援助従事者研修の目的は、訪問介護の現場で必要とされる生活援助の基礎知識と技術を習得することです。この研修では、掃除や買い物、食事の準備といった実務的な内容だけでなく、高齢者との適切なコミュニケーション方法についても学びます。
「高齢者と、どのように接したらよいかわからない」と不安に感じている方でも安心して学べる内容です。実践的なコミュニケーション技術がカリキュラムに組み込まれているため、自信を持って接する力を身につけられるでしょう。
また、生活援助の方法に加えて、認知症の理解や医療連携などの基本的な知識も学習します。こうした内容を学ぶことで、さまざまな介護ニーズに対応できる人材として成長できるのです。
以下に、研修で取り扱う具体的なカリキュラムの内容を紹介します。
生活援助従事者研修の科目 | オンライン受講できる時間 | 必ず講義形式で受講する時間 |
1. 職務の理解 | 0時間 | 2時間 |
2. 介護における尊厳の保持・自立支援 | 3時間 | 3時間
|
3. 介護の基本 | 2.5時間 | 1.5時間
|
4. 介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 2時間 | 1時間 |
5. 介護におけるコミュニケーション技術 | 3時間 | 3時間 |
6. 老化と認知症の理解 | 5時間 | 4時間
|
7. 障害の理解
|
1時間 | 2時間
|
8. こころとからだのしくみと生活支援技術 | 12.5時間 | 11.5時間 |
9. 振り返り | 0時間 | 2時間
|
合計 | 59時間 |
・厚生労働省.「生活援助従事者研修のご案内」(P.4). 令和4年版, 2021. https://www.mhlw.go.jp/content/000955051.pdf, (参照 2024-08-24)
研修を受講することで、ホームヘルパーとして利用者の自宅を訪問し、生活援助に関する以下のようなサービスを提供するスキルを習得できます。
項目 | 内容 |
掃除 | 居室内やトイレ、テーブル等の清掃
ゴミ出し 準備・後片づけ |
洗濯 | 洗濯機または手洗いによる洗濯
洗濯物干し 洗濯物の取り入れと収納 アイロンがけ |
ベッドメイク | 利用者がいないベッドのシーツ交換、布団カバーの交換等 |
衣類の整理・被服の補修 | 衣類の整理(夏・冬物等の入れ替え等)
被服の補修(ボタン付け、破れの補修等) |
一般的な調理・配膳や下膳 | 配膳、後片づけのみ
一般的な調理 |
買い物・薬の受け取り | 日常品等の買い物(内容の確認、品物・釣り銭の確認を含む)
薬の受け取り |
※生活援助従事者研修では、生活援助に必要な内容のみを学習します。よって、入浴介助や食事介助、排泄介助など、利用者に直接触れる支援は提供できません。
利用者に直接触れる介助を「身体介護」といいます。利用者の自宅を訪問し、身体介護を行うには、介護職員初任者研修の受講が必要です。
介護職員初任者研修については、こちらの記事で詳しく解説しています。 興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。
研修の実施方法と期間
生活援助従事者研修は、介護の基礎を学ぶための研修です。講義の一部はオンラインでも受講が可能で、受講者のライフスタイルに合わせた柔軟な受講方法と期間が設けられています。この研修は、座学と実技の両方で構成されており、全体で59時間のカリキュラムが組まれています。
そのうち、最大29時間はオンライン受講が可能で、仕事や家庭の都合で通学が難しい方も参加しやすい仕組みです。通学が必要な講義では、各研修機関が指定する会場で対面での指導が行われ、実践的なスキルを身につける場となっています。
研修期間は受講者のペースに応じて異なりますが、一般的には週1回のペースで進めると約2ヶ月で修了することが多いです。また、短期間で集中的に学びたい方には、より早く修了できるプランも提供されています。
研修機関ごとにスケジュールが異なるため、申し込みの際には詳細を確認することが大切です。全てのカリキュラムを修了し、修了試験に合格すれば、修了証が発行され、介護分野でのキャリアの第一歩を踏み出す準備が整います。
生活援助従事者研修を受けることで得られる価値
ここでは、生活援助従事者研修を受けることで得られるメリットについて紹介します。具体的には、
- 資格取得による新たなチャンス
- 資格取得で得られること
の2つです。それでは順番に解説していきます。
資格取得による新たなチャンス
生活援助従事者研修の資格を取得することで、介護職としてのキャリアをスタートできます。通常、訪問介護事業所でホームヘルパーとして働くためには、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)などの資格が必要です。しかし、この研修を修了することで、生活援助に特化したホームヘルパーとして働けるようになります。未経験者にとっても、介護業界への第一歩を踏み出しやすくなり、就職や転職活動の際にもアピールすることが可能です。
さらに、他の介護資格へのステップアップを目指すための基盤にもなります。研修で学んだ内容は、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修など、より高度な資格を取得する際の土台になります。
スキルアップを目指す方や、介護の専門職としてキャリアを築きたい方にとっては、最適な資格です。資格を取得することで、ホームヘルパーとして活動の場を広げることが期待できます。
資格取得で得られること
資格を取得することで、自分自身を成長させる機会が広がります。この研修では、介護の現場で必要とされる基本的な知識や技術だけでなく、利用者との信頼関係を築くためのコミュニケーションスキルも身につけます。こうした経験を重ねることで、成長を実感し、より大きな自信を持てるようになるでしょう。
この資格は、介護職としてのキャリアをスタートするために最適な選択です。しっかりと基礎を学ぶことで、将来的なスキルアップやキャリア形成にもつながります。また、介護職員初任者研修など、さらに上位の資格に進む際にも、この研修で身につけた知識が大いに役立ちます。資格取得を通じて、さらなる自己成長を目指しましょう。
生活援助従事者研修を活用するために
ここでは、生活援助従事者研修を活用するための方法を紹介します。具体的には、
- こんな方におすすめ
- 他の資格との組み合わせ
の2つです。それでは順番に解説していきます。
こんな方におすすめ
生活援助従事者研修の資格は、「これから介護の仕事を始めたい」と考えている方におすすめです。この研修は、介護職員初任者研修と比べて取得の難易度が低く、短期間で修了できます。
介護の基本的な知識や技術を学ぶための入門資格として最適であり、初めて介護を学ぶ方でも無理なく始められます。さらに、研修内容は、利用者に直接触れない「生活援助」に焦点を当てているため、ボランティア活動などでの支援を考えている方にも役立つのです。
また、この資格は介護職員初任者研修のような上位資格に進む前の基礎固めとしても適しています。まずは生活援助従事者研修でしっかりと基礎を学び、その後、より高度な資格に挑戦することで、段階的にスキルを磨くことも可能です。介護現場で実践的な知識を習得しながらキャリアをスタートさせたい方にとって、生活援助従事者研修は理想的な選択といえます。
他の資格との組み合わせ
生活援助従事者研修は、他の介護資格と組み合わせることで、介護現場での活動範囲を広げられます。この研修で生活援助の基本を学んだ後、次に介護職員初任者研修に進むことで、より深い知識と技術を習得し、介護のプロフェッショナルとしての基礎を固められます。これにより、訪問介護の生活支援に加えて、身体介助の業務にも対応できるようになり、オムツ交換など多様な介護ニーズに対応することも可能です。
さらに、介護職員初任者研修の後に実務者研修を修了すると、喀痰吸引などの医療的なケア技術も身につきます。実務経験を積み重ねながら、最終的には国家資格である介護福祉士の資格取得を目指す道が開かれるのです。こうしたステップアップの流れを通じて、資格を組み合わせることで自分のスキルを磨き、介護の現場で幅広く活躍できます。
まとめ:生活援助従事者研修の意義と活用法
生活援助従事者研修は、ホームヘルパーとして生活援助を提供するための基礎的スキルを学ぶための資格です。この研修を通じて、掃除や買い物など、日常生活の支援に必要な基本的な知識や技術をしっかりと身につけられます。
また、利用者とのコミュニケーションの重要性を理解し、信頼関係を築くための基本的な技法も学びます。介護職員初任者研修など、より高度な資格を目指す前の準備としても理想的です。この研修を通じて得たスキルや知識は、介護現場で活躍するための土台となります。
これから介護の仕事に携わりたいと考えている方や、ホームヘルパーとしてスキルを磨きたいと考えている方は、ぜひ生活援助従事者研修の受講を検討してみてください。
この記事が、あなたの介護の現場での第一歩を踏み出すためのきっかけになれば幸いです。