
「2027年から始まる育成就労制度は、今までの特定技能と何が違うの?」「うちの施設は、結局どちらの制度を使えばいいのだろう?」
このようなお悩みをお持ちの施設長や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
外国人材の制度は複雑です。しかし、ポイントを押さえれば、自施設に最適な手段を知ることは難しいことではありません。
2つの制度の違いは「育てる人材(育成就労)」か「即戦力の人材(特定技能)」かという点です。新制度の導入により、より長く働いてもらうための「一貫したキャリアパス」として生まれ変わりました。
この記事では、外国人採用の担当者が知っておくべき内容について、以下の点を解説いたします。
- 育成就労と特定技能の違い(対象レベル・在留期間)
- 転籍(転職)ルールや支援体制の比較
- 【ケース別】自施設にはどちらの制度がおすすめか
制度の仕組みや目的を正しく理解しないまま採用を進めると「現場の教育負担が重くなり過ぎた」「せっかく採用したのにすぐ転職されてしまった」などのミスマッチにつながりかねません。最適な採用計画を立てるために、ぜひ最後までお読みください。
Contents
育成就労制度と特定技能の決定的な違いとは?
育成就労制度と特定技能の決定的な違いは「受け入れる人材の成熟度」と「在留期間」にあります。ここでは、それぞれの制度目的や対象レベル、キャリアパスの違いについて詳しく解説していきます。
制度の目的はどちらも「人材確保」
新設される育成就労制度では、従来の技能実習制度で建前とされていた「国際貢献」という目的が廃止され、特定技能と同じく「人材確保」と「人材育成」が目的であると明確に定められました。
これにより、どちらの制度も「日本の人手不足を解消し、長期的に働いてくれる人材を確保する」という共通の目的を持つことになります。目的が統一されたことで、育成就労で基礎を身につけた人材が、そのまま特定技能へステップアップすることが可能になりました。介護施設の運営者にとっても、将来の中心的な役割を担う人材として計画的に採用・育成できる環境が整ったといえるでしょう。
・厚生労働省.「育成就労制度の概要」.令和7年版,2025.https://www.moj.go.jp/isa/content/001452485.pdf,(参照 2026-1-10)
ここでは、それぞれの制度で受け入れる外国人の「対象レベル」の違いについて解説します。
育成就労制度
育成就労制度は、介護の経験がない未経験者を受け入れ、育てていくための制度です。基本的に「ポテンシャル採用」の側面が強い制度です。とは言え、日本語が全く話せない状態では、育成に時間がかかり過ぎます。
よって新制度では、入国時の要件として「日本語能力試験N5(A1)相当」以上を持つことが義務付けられる見込みです。これは、日常生活の中で、ゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取れる程度のレベルとされています。
受け入れ企業は、3年間の就労を通じて、特定技能1号へ移行できる水準(技能検定3級および日本語能力N4相当など)まで、彼らを教育・支援する必要があります。
・厚生労働省.「育成就労制度の概要」.令和7年版,2025.https://www.moj.go.jp/isa/content/001452485.pdf,(参照 2026-1-10)(P.2)
特定技能
特定技能制度は、ある程度の知識と経験を持った「即戦力」を受け入れるための枠組みです。この資格を取得するには、原則として「技能試験」と「日本語試験(N4相当以上)」の両方に合格している必要があります。
基本的な介護用語や技術をすでに習得しているため、入職直後から現場の戦力として期待できます。採用コストは必要ですが、教育コストを抑えつつ、すぐに現場に入ってほしい場合は、こちらのレベルの人材が適しています。
・出入国在留管理庁.「特定技能1号介護分野について」.令和7年版,2025.https://www.ssw.go.jp/about/visa/nursing_care_1/,(参照 2026-1-10)
在留期間とキャリアパス
ここでは、外国人が日本で働き続けるための期間と、キャリアアップの流れについて解説いたします。
育成就労(3年)から特定技能(5年)への移行
新制度では「育成就労(3年)+特定技能1号(5年)」の計8年間が、基本のキャリアルートになります。育成就労の3年間で日本語と技能を磨き、試験に合格することで、特定技能1号へ移行できる設計になっています。
以前の制度では、実習終了後に帰国してしまうケースもありましたが、新制度では「特定技能につなげること」が前提です。そのため、施設側としては、採用した人材が8年という長い期間、安定して働いてくれることが期待できます。
「介護福祉士」取得による永住・定着
国家資格「介護福祉士」を取得すれば、永住することが可能です。特定技能(または育成就労)で働きながら実務経験を積み、介護福祉士国家試験に合格すると、在留資格を「介護」に変更できます。
「介護」の在留資格には在留期間の更新回数に制限がなく、家族の帯同も可能となり、将来的には永住権の取得も視野に入ります。ここまで到達すれば「一時的な労働力」ではなく、「施設の将来を担う中心的な人材」といえるでしょう。
・厚生労働省.「在留資格介護」.令和7年版,2025.https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001026596.pdf,(参照 2026-1-10)
育成就労制度と特定技能介護の転籍(転職)ルール

ここでは、それぞれの制度における転籍の条件と、雇用側が注意すべきポイントについて解説いたします。
育成就労制度
介護分野では「2年間」の転籍制限が設けられる方向で調整されています。これは、介護技術や日本語の習得に時間がかかることや、採用・教育にかかる初期コストを回収する期間が必要であると判断されたためです。また、認知症のご利用者と「なじみ」の関係を築くことも一つの要因となっています。
企業にとっては、少なくとも2年間は人材流出のリスクが抑えられる形となります。ただし、ハラスメントや法令違反などの「やむを得ない事情」がある場合は期間に関わらず転籍が認められるため、適切な労務管理が不可欠です。
・厚生労働省.「育成就労制度における本人意向による転籍の制限(案)について」.令和6年版,2024.https://www.moj.go.jp/isa/content/001446838.pdf,(参照 2026-1-10)
特定技能
特定技能制度では、日本人労働者と同様に、契約期間満了や自己都合による転職(転籍)が認められています。同一の業務区分(介護)であれば、比較的自由に職場を変えることが可能です。
そのため、より高い給与や都市部の生活環境を求めて離職してしまうリスクが常にあります。特定技能人材を雇用し続けるためには、給与面だけでなく、働きやすさやキャリア支援など、選ばれ続けるための努力が求められるといえるでしょう。
育成就労制度と特定技能の支援体制の比較
外国人材を受け入れる際、施設だけで全ての手続きや生活サポートを行うのは現実的ではありません。そこで重要になるのが、専門的な知識を持つ「支援機関」の存在です。
支援機関の役割
育成就労制度と特定技能制度では、それぞれサポートしてくれる機関の名称や役割、関わり方が異なります。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
監理支援機関
監理支援機関は、育成就労制度において受入れ施設をサポートする機関です。これまでの技能実習制度における「監理団体」が、新制度に合わせて名称や役割が変更となりました。
受け入れ施設が適切な指導を行っているか、また労働環境に問題がないかを、第三者の視点で監査する役割を担います。施設にとっては、適正な運営を行うためにチェックしてくれるパートナーといえるでしょう。
・厚生労働省.「育成就労制度の概要」.令和7年版,2025.https://www.moj.go.jp/isa/content/001452485.pdf,(参照 2026-1-10)(P.3)
登録支援機関
特定技能制度において、支援計画の実施を委託できるのが「登録支援機関」です。特定技能外国人を受け入れる企業には、事前ガイダンスや生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供など、法律で定められたサポートを行う義務があります。
具体的なサポート内容として、以下の10項目が挙げられます。
- 事前ガイダンスの実施:入国前に、労働条件や活動内容、保証金の有無などを、対面やテレビ電話で説明します。
- 出入国する際の送迎:入国時は空港から住居まで、帰国時は空港の保安検査場まで、職員が同行して送迎を行います。
- 住居確保・生活契約の支援:連帯保証人の調整や社宅の提供に加え、銀行口座の開設や携帯電話、ライフラインの契約を手伝います。
- 生活オリエンテーション:日本のルールやマナー、公共交通機関の利用方法、災害時の対応など、生活に必要な基礎知識をレクチャーします。
- 公的手続きへの同行:役所での住民登録や税金、社会保険の手続きなどに同行し、複雑な書類作成を補助します。
- 日本語学習の機会の提供:日本語教室の案内や学習教材の情報提供など、日本語能力を向上させるためのサポートを行います。
- 相談・苦情への対応:職場や生活の悩みについて、外国人が十分に理解できる言語(母国語など)で相談に応じ、助言を行います。
- 日本人との交流促進:地域のお祭りや自治会のイベントなどを案内し、地域住民や日本人との交流の場を作ります。
- 会社都合時の転職支援:人員整理など会社都合で契約を解除する場合、次の就職先を探す手伝いや推薦状の作成を行います。
- 定期的な面談と行政報告:3ヶ月に1回以上、支援責任者が本人や上司と面談を行い、労働基準法違反などがないか確認・報告します。
しかし、これらを自社で全て実施するのは負担が大きいため、外部の「登録支援機関」に委託するのが一般的です。
前述の監理支援機関との大きな違いは、企業に対する「指導・監督」の権限を持たないことです。あくまで企業と対等な立場で、支援業務のアウトソーシング(外部委託)を受ける業者という位置づけになります。
委託費用は必要ですが、事務作業や生活サポートを任せることで、現場スタッフが教育や業務指導に集中できるメリットがあります。
・出入国在留管理庁.「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」.令和7年版,2025.https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/supportssw.html,(参照 2026-1-10)
育成就労と特定技能はどちらを選ぶべき?
ここまで制度の違いを見てきましたが「結局、うちの施設にはどっちが合っている?」とお考えの方も多いでしょう。結論から言えば、施設の「教育体制」と「採用の緊急度」によって選ぶべき制度は変わります。
ここでは、それぞれの制度がどのような施設に向いているのかを、具体的なケースに分けて解説していきます。
こんな施設には「育成就労」がおすすめ
育成就労制度は「人を育てる」ことに重きを置いた制度です。そのため、即戦力というよりは「将来の投資」として人材を採用したい施設に適しています。
具体的に、以下の3つに当てはまる場合は、育成就労の導入を前向きに検討してみてください。
時間をかけて自施設の理念やケア方法を教え込みたい
「施設のケア方針や理念を深く吸収してほしい」とお考えの場合は、育成就労からの受け入れが適しています。介護の経験が浅い状態で入国してくるため「他施設の色」に染まっていないからです。
経験者の場合、前の職場でのやり方が身についており、新しい施設のルールに馴染むのに時間がかかることがあります。しかし、育成就労であれば、自社のスタンダードを教え込むことも難しいことではありません。
時間をかけて教育することで、技術だけでなく、利用者様への接し方やチームワークの重要性など、組織が大切にしている価値観を持ったスタッフを育てることが可能です。
将来の「特定技能→介護福祉士」候補を若いうちから確保したい
将来のリーダー候補を、若いうちから確保したい施設にもおすすめです。育成就労では、国家資格「介護福祉士」を取得し「現場の中心的存在」として活躍する人材を育てるための制度でもあります。
育成就労の3年間と特定技能の5年間、合計8年間を自施設で過ごせば、その人材は施設にとって欠かせない存在になっているはずです。早い段階から採用し、資格取得まで手厚くサポートすれば、10年、20年先まで施設を支えてくれる頼もしい仲間を増やすことも難しくありません。「長期的な視点で組織を強くしたい」という方針をお持ちの施設には、メリットの大きい制度です。
転籍リスクを理解した上で長期的な関係性を築きたい
転籍のリスクを管理しつつ、じっくり信頼関係を築きたい場合も、この制度が向いています。特定技能は最初から転職が可能ですが、育成就労は最初の2年間、原則として転籍が制限されているからです。
この2年間は、施設と本人がお互いを理解するための「猶予期間」とも言えます。もちろん、期間が終われば転籍は可能になりますが、その間に「この施設でずっと働きたい」と思ってもらえるような信頼関係を築ければ、定着率は高まります。
「いきなり辞められるのは困るが、じっくりと関係を築けば定着してくれるはずだ」と前向きに捉え、離職防止のマネジメントに取り組める施設であれば、この期間を有効に活用できるでしょう。
こんな施設には「特定技能」がおすすめ
一方で、特定技能制度は「即戦力の活用」に重点を置いた仕組みです。すでに一定の知識や経験を持っているため、育成の時間を短縮できるのが最大のメリットです。
以下の2つのような課題を抱えている施設には、特定技能の活用が適しています。
すぐに夜勤や一人立ちできる即戦力が欲しい
「現場の人手が足りず、すぐにでもシフトに入ってほしい」という状況なら、特定技能が最適です。特定技能の資格を持つ人材は、ある程度の日本語力と介護技能を持っています。そのため、基礎的な介護知識や技術はもちろん、現場での動き方も身についていることが一般的です。
特定技能人材であれば、施設のルールを覚えるだけで比較的スムーズに一人立ちできます。また、コミュニケーション能力も一定レベルにあるため、早い段階で即戦力となってくれるでしょう。
教育体制をゼロから作る余裕がない
「教育担当を置く余裕がない」「現場が忙しすぎて、一から教えられない」という施設にも、特定技能が向いています。育成就労の場合、日本語学習や技能指導の計画を立て、実行することが義務付けられており、現場スタッフの協力が必要です。
その点、特定技能であれば、ゼロからの教育は不要です。基礎ができているため、現場の指示も伝わりやすく、教育にかかる時間と労力を最小限に抑えられます。「まずは現場を回すことを優先したい」「教育コストをかけずに人材を確保したい」という場合には、特定技能を選ぶのが最適です。
まとめ

この記事では「育成就労制度」と「特定技能」の違いについて、目的や対象レベル、転籍ルールや選び方などを詳しく解説しました。
2つの制度は、どちらも人手不足を解消することが目的ですが、最大の違いは「時間をかけて育てるか(育成就労)」「即戦力として迎えるか(特定技能)」という点にあります。
以下に、この記事のポイントをまとめます。
- 制度の目的:どちらも「人材確保」が目的です。新制度により、育成就労から特定技能、そして永住へと続く長期的なキャリアパスが一本化されました。
- 対象の違い:育成就労は「未経験者(ポテンシャル採用)」、特定技能は「経験者(即戦力採用)」が対象です。
- 転籍ルール:育成就労(介護)には原則2年間の転籍制限があります。一方、特定技能は、日本人と同様に転職が自由です。
- 選び方:理念やケアを教え込みたいなら「育成就労」、教育コストを抑えてすぐに現場を回したいなら「特定技能」が適しています。
- 仕組みが複雑に見えますが、重要なのは「自施設の現状(教育体制や緊急度)」に合った制度を選ぶことです。
無理にすべてを自施設で完結させようとせず、信頼できる支援機関や専門家のサポートを活用することで、採用と定着のリスクを最小限に抑えられます。
外国人材を「一時的な労働力」ではなく「将来の中心となるメンバー」として迎え入れるために、ぜひ長期的な視点で検討を始めてみてください。
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