介護保険制度の成り立ち
高齢者の増加につれて家庭での介護負担に応えるために1962年に、訪問介護事業が創設されました。1963年には、老人福祉法の制定により訪問介護の法制化と特別養護老人ホームが創設されました。1970年代に入ると、高齢者の医療費拡大が社会問題になり、老人医療費無料化の施策も行われました。1980年代に入ると、治療を要する状態ではないが、介護が必要という理由で自宅での生活が困難な「社会的入院」が問題となりました。寝たきり高齢者が多いが施設数が少ない。所得に応じた利用料の為、利用にあたっての所得調査という心理的抵抗もありました。1990年代に入ると、高齢化率が10%を超えました。1990年では、高齢化率が12%となりました。1990年には、福祉関連法の8法改正と言われる国の福祉施策(高齢・障害・児童・医療等)の大幅な改正が行われました。福祉サービスが、市町村に一元化されたり、老人福祉施設の整備数の目標も掲げられました。1997年には、介護保険法が成立し、2000年の介護保険制度の実施に向けての準備段階になりました。所得(利用料)や、介護施設の少なさ、ホームヘルパーや介護福祉士等サービス提供者の有資格化や専門職化が進みました。
介護保険制度の内容
介護保険制度の基本的な考え方の3本柱があります。①自立支援②利用者本位③社会保険方式です。①の自立支援は、介護が必要な高齢者に対して単に介護を行うのではなく、機能の維持や向上を目的とした介護を行う事で自立に向けて支援を行うという事です。核家族化が進む国内の状況では、単身の高齢者が増えていました。また、介護により仕事を休んだり仕事を辞めざるを得ない家庭が多い中で、出来るだけ介護が必要でも出来る事を増やしたり、機能を低下させない取り組みの必要性が重要視されます。②の利用者本位とは、サービス利用者の選択により多様なサービス提供者から、保健医療サービスと福祉サービスを受けるという考え方です。以前は、措置と言って行政がサービスを決めていました。措置から契約に変わった等のも、介護保険制度での大きな変革です。しかし、中には養護老人ホーム等措置制度が残っているものもあります。③社会保険方式とは、給付と負担が明確であるという利点があります。40歳になったら、国民は介護保険料の支払いに義務が生じます。介護を必要とする高齢者は、介護認定を受けてサービスを利用します。利用者は、1割~3割の利用料でサービスを利用します。介護にかかわる財源は、介護保険料が50%・国が25%・都道府県と市町村がそれぞれ12.5%となっています。