「介護福祉士の給料ってどのくらいだろう」
「給料アップは可能なの?」
そんな疑問をお持ちではありませんか?
介護福祉士は、職場や経験によって給料が大きく変わるため、自分の将来を考える上で知っておきたいポイントがたくさんあります。この記事では、介護福祉士の給料や年収、さらに給料を上げるための具体的な方法について詳しく解説します。
キャリアアップのヒントとして、ぜひ最後までお読みください。
Contents
介護福祉士の平均給料・年収
ここでは、介護福祉士の平均給料や年収について4つを紹介します。具体的には、
- 介護福祉士の平均月収・手取り
- 介護福祉士の年齢・男女別の平均給料
- 介護福祉士のボーナス
- 介護福祉士の資格手当
の4つです。それでは順番に解説していきます。
介護福祉士の平均月収・手取り
介護福祉士の平均月収は、厚生労働省の調査によると約331,080円です。月収に12ヶ月を掛けて計算すると、年収は3,972,960円になります。
一方で、資格を持たない介護職員の平均月収は約268,680円です。介護福祉士は、資格のない介護職員と比べて、月62,400円多くの給料を受け取っていることがわかります。
また、手取り額は社会保険料や税金が差し引かれるため、総額の約8割が目安です。したがって、介護福祉士の平均手取り額はおおよそ26万5千円となります。
・厚生労働省.「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」令和4年度.2022.
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf,(参照 2024-10-16)(P.355)
介護福祉士の年齢・男女別の平均給料
介護福祉士の給与は、年齢や性別に応じて変わり、経験を積むことで増加する傾向があります。
特に40代で最も高い水準に達し、男性の場合は月収が約35.8万円、女性は約31.9万円に上ります。
勤続年数が長くなるにつれて、収入が増えることが一般的です。
一方で、60歳以上になると給与が減少し、28万円前後となることが多いですが、これは夜勤の頻度が減り、手当が少なくなることや、定年後に非正規雇用に切り替わるためとされています。ただし、あくまでこれは平均値であり、60代でも夜勤回数を40代と同じようにこなしている方も多く、その場合、同等の給与を維持しているケースもあります。年齢による給与の変動を理解しつつ、今後のキャリア形成を考えることが大切です。
年齢 | 女性 | 男性 | 差額 |
29歳以下 | 284,170 | 293,410 | 9,240 |
30~39歳 | 307,660 | 338,680 | 31,020 |
40~49歳 | 319,620 | 358,380 | 38,760 |
50~59歳 | 317,870 | 340,750 | 22,880 |
60歳以上 | 293,110 | 280,350 | 12,760 |
全体 | 309,630 | 335,400 | 25,770 |
参考記事:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」令和4年度
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf,(P.238)
介護福祉士のボーナス
介護福祉士のボーナスは、勤務先の施設や雇用形態によって異なりますが、年間に2〜3回支給されるケースが多くみられます。支給額は、基本給を基準に計算されることが一般的です。
施設の業績や職員の勤続年数によって、ボーナスが増えることもあります。介護福祉士の平均ボーナス額は629,134円です。介護職の勤務年数でみた場合、勤務1年目では287,072円ですが、5〜10年目で608,791円、20年以上勤務していると946,325円に達します。
さらに、40〜60代の介護福祉士は経験や役職に応じて、ボーナス額が一層増加する傾向にあります。ボーナスは年収に大きく影響を与えるため、職場選びの際にしっかり確認しておきたいポイントです。
参考記事:公益財団法人介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査結果報告書」
https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023r01_chousa_jigyousho_kekka.pdf(P.127)
介護福祉士の資格手当
介護福祉士の資格を取得すると、資格手当として毎月の給料に加算されます。資格手当の金額は、5,000円から1万円程度が一般的な相場です。資格手当は、介護福祉士のスキルや専門知識を評価するために支給されるもので、給料アップを目指す方にとって重要な要素です。
施設や事業所によって支給額には差があり、場合によっては資格手当が支給されない職場もあります。それでも、多くの現場では介護福祉士の資格が他の資格よりも高い手当を受けやすい傾向にあります。
また、介護福祉士の資格を持つことで、無資格の職員よりも平均月収が大幅に高くなります。厚生労働省のデータによれば、無資格者の月収が約26.8万円に対して、介護福祉士は約33.1万円と、その差額の一部は資格手当によるものと考えられます。資格を取得することで、長期的な給与面でのメリットが期待できるのです。
参考記事:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf,(P.157)
介護福祉士の施設別平均給料
ここでは、介護福祉士の平均給料について施設別に紹介いたします。具体的には、
- 特別養護老人ホーム
- 有料老人ホーム
- グループホーム
- 訪問介護事業所
- デイサービス
の5つです。それでは順番に解説していきます。なお、資料につきましては、厚生労働省による調査結果を参考にしています。
参考記事:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf(P.157.158)
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、介護福祉士が活躍する施設の一つで、平均月収は360,840円です。特養での業務は、身体的な負担が大きい介護が中心で、24時間体制でケアを提供するため、他の施設に比べて給与水準が高めになっています。収入をさらに増やしたい場合は、夜勤の回数を増やすなどの工夫が有効です。
有料老人ホーム
有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護事業所)で働く介護福祉士の平均月収は約330,650円です。介護業界の中でも、比較的高い水準と言えます。有料老人ホームでは、介護業務に加えて、レクリエーションやサークル活動など、利用者が快適に過ごせる環境づくりにも関わります。夜勤や資格手当が付くと月収が増えるケースも多く、働き方次第でより高い収入を得ることも期待できるのです。
グループホーム
グループホームでの介護福祉士の平均月収は、304,190円です。グループホームは、認知症の高齢者が少人数で生活する施設で、家庭的な雰囲気の中でケアを提供します。そのため、介護福祉士には利用者との密接な関わりが求められ、専門的な介護スキルが必要です。
認知症ケアに長けた介護福祉士が求められており、その経験が昇給のポイントとなることもあります。待遇は他の施設と比べて平均的ですが、夜勤や資格手当が加わると収入が増える可能性があります。
訪問介護事業所
訪問介護事業所で働く介護福祉士の平均月収は、323,470円です。訪問介護の業務は、利用者の自宅を訪問し、生活支援や身体介護を行います。施設内での業務に比べて移動が多く、1日に複数の利用者宅を訪れるため、効率的なスケジュール管理が求められます。
訪問介護事業所の給料は、他の介護施設と比較してやや高めです。移動時間や利用者対応の負担が大きく、1対1でのケアが必要となるため、個別対応に責任が伴います。こうした業務の特性が反映されて、給料に反映されていると考えられます。
デイサービス
デイサービスで働く介護福祉士の平均月収は290,120円です。他の介護施設と比べると、やや低めの給与水準に位置します。これは、デイサービスでは日中のみの勤務が中心で、夜勤がないためです。
ただし、デイサービスでは利用者と直接関わり、支援を行う場面が多く、仕事のやりがいは非常に大きいです。収入アップを目指す場合は、スキルの向上や資格の取得が有効です。経験を積むことで、他の職場でのキャリアアップや転職の可能性も広がります。
介護福祉士の雇用形態別 平均給料
ここでは、介護福祉士の平均給料について雇用形態別に紹介します。具体的には、
- 正社員
- パート・アルバイト
- 派遣社員
の3つです。それでは順番に解説していきます。なお、資料につきましては、厚生労働省による調査結果を参考にしています。
参考記事:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf,(P.157〜161)
正社員
介護福祉士として正社員で働く場合、平均月収は331,080円です。ただし、地域や施設の規模によっても異なることがあります。特に夜勤や手当などの条件によって給料が変動し、実際の手取り額は勤務先によって異なるのが一般的です。
パート・アルバイト
介護福祉士のパート・アルバイト等(時給・非常勤)として働く場合、平均月収は約134,680円です。パートやアルバイトとしての勤務は、柔軟な働き方ができる点が魅力です。パート・アルバイトとして働く際は、自分のライフスタイルと収入のバランスを考慮することが大切です。
派遣社員
介護福祉士が派遣社員(日給・非常勤)として働く場合の平均月収は、162,330円です。派遣社員は正社員やパートと比べて雇用の安定性が低いものの、勤務スケジュールの柔軟性が高い点が特徴です。自由な働き方を求める方には適しています。また、派遣での勤務をしながらも正社員登用やキャリアアップを目指すことも可能です。
介護福祉士の給料をアップするためのポイント
ここでは、介護福祉士の給料をアップするためのポイントを4つ紹介します。具体的には、
- 夜勤の仕事を増やす
- 管理者にキャリアアップする
- 給料の高い職場に転職する
- 今後介護福祉士の給料は上がる?
の4つです。それでは順番に解説していきます。
夜勤の仕事を増やす
介護福祉士の給料をアップさせるために、効果的な方法の一つが「夜勤の仕事を増やす」ことです。
夜勤は、日中の勤務よりも高い手当が支給されるため、勤務回数を増やすことで月収や手取りが大幅に向上します。
1回の夜勤手当は施設によって異なりますが、一般的には3,000円から8,000円程度が支給されます。
ただし、夜勤は生活リズムが乱れやすく、体調に影響を与えることがあるため、無理をせず、健康を考慮した上でシフトを組むことが大切です。
管理者にキャリアアップする
給料を上げるためには、管理者へのキャリアアップも有効です。管理者になると、施設運営やスタッフのマネジメントといった業務に携わり、責任の範囲が広がります。
それに伴って、収入も大幅に増えることが一般的です。
管理者への昇進を目指すためには、いくつかのポイントがあります。まず、リーダーシップを発揮し、チームをまとめることが重要です。さらに、ケアの質の向上や、業務効率化のためのスキル・提案力も求められます。また、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しておくことで、昇進のチャンスが広がります。
給料の高い職場に転職する
現在の職場で給料アップが見込めない場合、思い切って転職を検討してみるのも一つの選択肢です。介護福祉士の給料は、職場によって大きく異なります。
ただし、転職の際には、単に給料だけでなく、福利厚生や労働環境なども総合的に考慮することが重要です。また、自身のキャリアプランや希望する働き方を明確にしておくことが、満足度の高い転職を成功させるためのポイントです。
今の環境での昇給が難しいと感じている方は、転職によってキャリアアップと収入アップを同時に目指してみてはいかがでしょうか?
今後介護福祉士の給料は上がる?
介護業界について「給料が安い」と感じる方が多いかもしれませんが、2024年の介護報酬改定によって、給料改善が進んでいます。
実際に、2024年4月の改定では、介護職員の処遇改善に向けて重要な変更が行われました。
具体的には、これまで複数に分かれていた加算が「介護職員等処遇改善加算」に統合され、加算率が0.5%〜2.1%引き上げられました。また、2024年度には2.5%、2025年度には2.0%の段階的な加算率の引き上げが予定されています。これらの給与上昇傾向もあり、今後も介護福祉士の給料は改善されると考えられています。
参考記事:厚生労働省「処遇改善加算の制度が一本化(介護職員等処遇改善加算)され、加算率が引き上がります」
https://www.mhlw.go.jp/shogu-kaizen/download/A1_leaflet.pdf(参照 2024-10-16)
関連記事:2024年6月から!介護職の処遇改善手当とは?もらえる条件やその支給額について
まとめ
介護福祉士の給料は、年齢や勤務先によって差がありますが、資格を持っていれば、安定した収入が期待できます。
特に、年齢が高めでも経験を積み重ねれば、昇給のチャンスが広がります。
たとえば、現場での経験を活かして管理職やリーダー的な役割を担うと、給与の大幅なアップが見込めるのです。
さらに、ケアマネジャーなどの資格を取得していけば、手当が増える可能性もあります。
給料を増やすためには、夜勤をこなす、管理職を目指す、給料の高い職場への転職を考えるといった方法があります。介護業界では今後も人材の需要が高まるため、計画的にキャリアを積んでいくことが大切です。
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