特定技能「介護」で外国人を雇用するには?介護分野における在留資格・就労ビザの比較

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介護人材不足が深刻化し、外国人介護人材の採用を検討する施設が増えています。

注目されるのが「特定技能(介護)」ですが、就労ビザの種類や違いは分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

 

外国人介護人材を受け入れる際は、「特定技能(介護)」「在留資格『介護』」「技能実習(介護)」など複数の在留資格があり、業務内容や在留期間、受け入れ要件、支援体制が異なります。特に、新規採用を検討する施設長や人事担当者は、自施設に適した在留資格や準備を把握しておくことが重要です。

 

本記事では、各制度の違いや受け入れ要件、就労開始までの流れを解説します。

 

就労ビザに関する基礎知識


特定技能「介護」で外国人を雇用するには?介護分野における在留資格・就労ビザの比較

 

外国人を介護職として雇用するには、日本人と同様の雇用契約に加え、就労可能な在留資格(就労ビザ)を理解し、制度に沿って受け入れる必要があります。就労ビザは日本国内で報酬を得て働くことを認める資格で、職種や業務内容ごとに定められています。

 

介護分野では、資格ごとに「業務範囲」「在留期間」「更新可否」「家族帯同可否」が異なるため、採用前に自施設に適したビザを整理することが重要です。近年は「特定技能(介護)」が注目されていますが、在留資格「介護」や技能実習と混同されることもあります。

 

介護分野における在留資格の比較

介護分野で外国人材を受け入れる際に検討される在留資格は、「特定技能(1号:介護)」「在留資格『介護』」「技能実習(介護)」の3つです。いずれも介護業務に従事できますが、制度の目的や就労範囲、在留期間、施設側の対応には違いがあります。

 

特定技能(介護)は即戦力として人員配置基準に含まれ、条件次第で夜勤も可能です。在留資格「介護」は長期就労を想定し安定的雇用につながりやすい一方、採用のハードルは高めです。技能実習は育成目的で労働力確保が主目的ではありません。

 

資格ごとに前提や制約が異なるため、制度の違いを理解し比較・検討することが重要です。

 

在留資格 夜勤対応 特徴
特定技能1号(介護) 可能 直接雇用のみ、入職後すぐ人員配置基準に含められる、長期就労可
在留資格「介護」 可能 介護福祉士資格者向け、直接雇用可能、長期就労可
技能実習(介護) 条件により可能 育成目的、短期就労、直接雇用不可、人員配置基準には含められない

 

特定技能とは


特定技能とは

 

特定技能とは、国内の人手不足分野で一定の専門性や技能を持つ外国人が就労できる在留資格制度です。2019年に開始され、介護分野を含む複数の産業で受け入れが進められています。介護分野で認められるのは「特定技能1号」のみです。

 

特定技能1号は、一定の技能水準と日本語能力を持つ外国人が即戦力として就労する資格で、身体介護を含む業務全般に従事できます。在留期間は最長5年で、受け入れ施設は外国人への支援体制整備が義務付けられています。

 

特定技能「介護」は育成目的ではなく、一定期間安定して就労してもらうことを想定した制度です。特徴や条件を理解して活用することが、定着や施設運営の安定につながります。

 

特定技能「介護」の在留資格の特徴

特定技能「介護」は、介護現場の深刻な人材不足を補う在留資格で、一定の技能水準と日本語能力を満たした外国人が即戦力として就労できる点が大きな特徴です。他の資格より現場業務への関与範囲が広く、施設運営に直接貢献できる制度設計となっています。

雇用後すぐに戦力として活躍できるよう、業務内容や配置に関する制限が少ない点もメリットです。一方、受け入れ施設には外国人への支援体制整備や、制度に沿った適切な雇用管理が求められます。制度の利点だけでなく、施設側の役割も理解しておくことが重要です。

以下では、特定技能「介護」の特徴を、施設運営に直結するポイントごとに解説します。

 

1人で夜勤対応が可能

本制度の特徴の一つが、一定条件を満たすことで外国人介護職員が単独で夜勤業務に従事できる点です。技能実習(介護)などと比べても、現場への影響が大きいポイントといえます。

夜勤業務は入居者の見守りや緊急対応など、施設運営で重要な役割を担います。特定技能「介護」の外国人は、介護技能評価試験や日本語能力試験で一定以上の知識と日本語力を有していることが前提で、適切な指導・フォロー体制のもとで夜勤を任せられます。

これにより、夜勤シフトの人員不足解消や日本人職員の負担軽減につながり、現場の安定運営に寄与します。配置にあたっては段階的な教育やOJTを行うことが重要です。

 

入職後すぐに人員配置基準に含めることができる

特定技能「介護」で雇用した外国人は、入職後すぐに人員配置基準に含めることができます。人員配置基準は介護報酬や施設運営の安定性に直結するため、採用した人材を即戦力としてカウントできる点は大きなメリットです。

技能実習制度では一定期間人員配置に含められないケースがありますが、特定技能「介護」では要件を満たした人材として正式に配置可能です。そのため、慢性的な人手不足に悩む施設でも、採用効果を早期に実感しやすくなります。

一方、制度上可能でも、十分な教育やフォローは欠かせません。入職初期のサポート体制を整え、現場への定着を促すことが重要です。

 

直接雇用のみ受け入れ可能

特定技能「介護」で外国人を受け入れる場合、雇用形態は原則として直接雇用に限られます。派遣による受け入れは認められておらず、施設が雇用主として責任を持って契約を結ぶ必要があります。

直接雇用とすることで、業務指示や労務管理を一貫して行える点はメリットですが、その一方で、雇用管理や支援体制の整備を施設側が担う必要があります。登録支援機関を活用する場合でも、最終的な雇用責任は施設にあることを理解しておくことが重要です。

この点を事前に把握しておくことで、採用後のトラブルを防ぎ、安定した受け入れ体制を構築しやすくなります。

 

介護施設や事業所の受け入れ要件と対象施設

特定技能「介護」で外国人材を受け入れるには、本人の要件に加え、介護施設や事業所にも一定の条件が求められます。これらは、制度を適切に運用し、外国人が安心して働ける環境を整えることを目的としています。

初めて特定技能外国人の採用を検討する施設では、「自施設が受け入れ対象か」「どこまで準備が必要か」といった点が不安になりやすく、要件を確認せず採用を進めると制度上の問題で受け入れが滞ることもあります。

そのため、採用前に受け入れ要件と対象施設を正しく理解し、自施設の体制が制度に適合しているか確認しておくことが重要です。

 

受け入れ要件

外国人を受け入れるには、施設側が一定の基準を満たしている必要があります。主な要件は、適切な雇用契約の締結、日本人職員と同等の報酬支払い、外国人本人が安定して就労・生活できる体制の整備です。

また、業務面だけでなく生活面の支援も義務付けられています。具体的には、入国前後のオリエンテーション、日本での生活情報提供、相談対応などです。対応が難しい場合は、登録支援機関に委託できます。

さらに、過去に不適切な外国人雇用を行っていないことや、労働関係法令を遵守していることも重要です。法令遵守を前提とした受け入れ体制を整えることが、安定した外国人雇用につながります。

 

対象施設

外国人を受け入れられる対象施設は、介護保険法に基づく介護サービスを提供する事業所が中心です。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、グループホーム、訪問介護事業所など、幅広い施設・事業形態が対象です。

ただし、すべての施設が無条件で受け入れ可能ではありません。提供サービスや業務範囲が制度要件に適合している必要があり、身体介護を伴わない業務中心の施設では従事できる業務が制限される場合があります。

自施設が対象か判断が難しい場合は、登録支援機関や専門家への事前相談が有効です。早めの確認で採用計画を円滑に進められます。

 

雇用する外国人が満たすべき要件

雇用する外国人は、技能や日本語能力、年齢など一定の条件を満たす必要があります。これらの要件を満たすことで、施設は外国人材を安定した戦力として活用できます。

特定技能制度は即戦力人材の受け入れを目的としているため、誰でも就労できるわけではありません。所定の試験への合格や、介護現場で安全に働ける日本語能力を有していることが前提です。

事前に要件を正しく理解しておくことで、採用後のミスマッチや早期離職を防ぎ、長期的な人材活用につなげることが可能です。

 

技能水準

介護分野で必要な技能試験に合格していることが条件です。国内外で実施される試験に合格することで、一定の実務能力を備えた人材として就労が認められます。

技能試験では、介護の基本知識や身体介護・生活援助に関する理解度が確認され、日本の介護現場を想定した内容となっています。そのため、実務に直結するスキルが求められます。

採用時点で一定水準の介護知識を有している点は、施設側にとって安心材料といえるでしょう。

 

日本語能力

日常会話レベルの日本語能力が求められます。意思疎通が円滑であることは、安全な業務遂行だけでなく、利用者との適切なコミュニケーションにも重要です。

特定技能「介護」では、日本語能力試験(N4相当以上)または介護日本語評価試験への合格が必要とされています。業務指示の理解に加え、利用者の体調変化や要望を把握するためにも、日本語力は欠かせません。

十分な日本語能力を備えた人材を受け入れることで、トラブル防止やサービス品質の維持につながります。

 

年齢

特定技能1号では、概ね18歳以上65歳未満が目安とされています。施設によっては、独自に条件を設けている場合もあります。

この年齢要件は、長時間の立ち仕事や身体介護を伴う業務特性を踏まえたものです。若年層から中堅層まで、幅広い人材を受け入れられる点は制度の特徴といえるでしょう。

ただし、採用時には年齢だけで判断せず、健康状態や業務適性を含めて総合的に判断することが重要です。

 

特定技能「介護」として就労開始までの主な流れ


特定技能外国人を介護施設で受け入れる際は、採用から就労開始までの流れを事前に把握しておくことが重要です。海外・国内いずれから採用する場合でも、各プロセスを理解しておくことで、受け入れをスムーズに進めることができます。

採用方法によって手続きや所要期間は異なりますが、いずれの場合も在留資格に関する手続きは不可欠です。あらかじめ全体像を把握しておくことで、計画的な人材確保につながります。

 

海外から採用する場合

海外から採用する場合は、特定技能候補者の選定、技能試験・日本語試験の受験、採用決定後の入国手続きと在留資格申請が必要です。

試験合格後に雇用契約を締結し、在留資格認定証明書の交付申請を行います。入国後は、住居の手配や生活オリエンテーションなど、就労に向けた支援体制を整えることが求められます。

海外採用は一定の時間を要しますが、将来を見据えた安定的な人材確保につながる点がメリットです。

 

国内で採用する場合

国内に滞在する外国人を採用する場合は、まず現在の在留資格や技能レベル、日本語能力を確認することが重要です。

採用決定後は、特定技能1号への在留資格変更手続きを行い、施設との雇用契約を締結します。国内採用では入国手続きが不要なため、比較的短期間で就労を開始できる点が特徴です。

すでに日本で生活している人材であれば、生活環境への適応が進んでいる点もメリットといえるでしょう。

 

特定技能外国人への義務的支援とは

特定技能制度では、受け入れ施設または登録支援機関が、外国人に対して義務的支援を行うことが定められています。

この支援は、就労開始前後に外国人が安心して働ける環境を整えることを目的としたものです。適切な支援体制を整えることで、外国人本人の不安軽減だけでなく、施設側の負担軽減にもつながります。

 

義務的支援の具体的な内容

義務的支援には、生活オリエンテーション、住居確保や生活相談、医療・保険手続きのサポート、職場での指導や相談窓口の設置などがあります。

これらの支援を継続的に行うことで、外国人が日本の生活や職場環境に早く慣れることができます。その結果、早期の戦力化や定着率向上が期待でき、安定した人材確保につながります。

 

まとめ


特定技能「介護」を活用した外国人雇用では、在留資格ごとの特徴や、施設側・外国人側の要件を正しく理解することが重要です。特定技能1号は直接雇用で即戦力として活用でき、夜勤や人員配置基準にも反映可能です。一方、技能実習は育成目的の短期就労で戦力は限定的、在留資格「介護」は介護福祉士資格者対象で長期雇用に適します。

受け入れ時には義務的支援に加え、生活オリエンテーションや相談窓口などを提供できる登録支援機関を活用すると、定着率向上や受け入れ円滑化につながります。介護施設が安定した人材確保を実現するには、在留資格の理解と信頼できる支援機関の選定が鍵です。

 

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