
特定技能「介護」は、外国籍の方にとって在留資格のひとつとなる資格です。
事業所にとっても中長期的な人材確保を期待できる、特定技能「介護」や介護福祉士資格取得についてまとめました。
Contents
特定技能「介護」の取得要件
特定技能「介護」を含めた特定技能制度は、高齢化する日本において新設された、一定の外国人人材を受け入れる制度です。人手不足による人材確保、生産性向上などの対策や取り組みをしても、十分に労働力が確保できないなど深刻化している産業分野のため、平成31年(2019年)に施行されました。介護分野もそのひとつで、在留資格「特定技能1号」を取得すると在留資格を得られるのが特長です。
介護分野において特定技能の資格を取得するには、下記の4つのルートが用意されています。
- 試験に合格する
- 技能実習生として第2号技能実習(介護)を修了する
- 介護福祉士養成施設を修了する
- EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者として在留期間(4年)を満了する
上記のうち、特定技能「介護」の資格取得について、試験合格以外の方法を選択する場合は、一定の要件を満たした場合に、試験の一部を免除されることがあります。
なお、特定技能は1号のほか、2号も設定されています。ですが、介護分野では1号のみが特定技能と定められています。それぞれの違いは、1号が「特定産業分野に関して相当程度の知識または経験を要する業務に従事する人」を対象とするのに対し、2号は「特定産業分野に関して熟練した技能を要する業務に従事する人」を対象としています。
参考サイト:厚生労働省/介護分野における特定技能外国人の受入れについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html
合格が必要な試験
特定技能「介護」の資格を、試験によって取得を目指す場合は、日本語能力や介護業務に必要な技能試験に合格する必要があります。
- 日本語試験(国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上)
- 介護技能評価試験
- 介護日本語評価試験
日本語試験
特定技能「介護」の試験のうち、日本語試験は国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)または日本語能力試験(JLPT)の合格が必要です。いずれも日本語を母語としない人に対し、ある程度日常会話ができるか、生活に支障がない程度の能力があるかが合格基準となっています。
| 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic) | 日本語能力試験(JLPT) | |
| テストの形式 | CBT方式 | マークシート |
| 試験科目・試験時間 | 約50問/60分
|
|
| 求められるレベル | A2レベル以上 | N4レベル以上 |
| 開催日程 | 国内:年6回(海外は国別で異なる) | 年2回(7月・12月) |
| 合否通知 | テスト終了画面で確認/受験後5営業日以内に予約Webサイトで確認 | 合否結果通知書(海外受験の場合は証明書)/日本語能力認定書/オンラインで確認 |
テスト形式のCBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式とは、テストセンターでコンピューターを使って出題・解答する方法です。受験者はそれぞれのブースに設置されたコンピューターを使用し、画面に表示される問題について、画面上で解答します。
二つの日本語試験はそれぞれ試験方法等が異なりますが、どちらを選択しても自由です。開催日程が異なるので、受験のタイミングに合わせて検討してもいいでしょう。
参考サイト:
厚生労働省/介護分野における特定技能外国人の受入れについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html
厚生労働省/技能試験・日本語試験の概要(介護分野)
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000617599.pdf
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
https://www.jpf.go.jp/jft-basic/
日本語能力試験(JLPT)
https://www.jlpt.jp/about/index.html
介護技能評価試験
特定技能「介護」の試験の二つ目は介護技能評価試験です。介護業務に必要な技能を有しているかを技術試験で、申し込み資格などが定められています。
| 試験言語 | 試験実施国の現地語 |
| 試験の実施方式 | CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式 |
| 受験資格者 | 17歳以上(インドネシア国籍の場合は18歳以上) ※ただし国内で試験を受ける場合は、17歳以上でも在留資格を有していること ※日本国籍を有する場合は不可 |
| 試験の実施回数 | 原則毎月実施 |
| 試験時間 | 60分 |
| 試験科目 | 全45問(学科40問、実技5問)
|
| 合否通知 | 試験会場のコンピューター画面上/専用Webサイト |
| 受験手数料 | 1000円程度 |
| 合格基準(令和7年4月1日から適用) | 問題の総得点の60%以上 |
| 申込時の留意点 |
|
参考サイト:
厚生労働省/介護分野における特定技能外国人の受入れについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html
厚生労働省/技能試験・日本語試験の概要(介護分野)
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000617599.pdf
プロメトリック
https://www.prometric-jp.com/ssw/test_list/archives/2
介護日本語評価試験
介護日本語評価試験も日本語試験のひとつです。介護の現場で働くにあたり、必要な日本語能力を持っていることを証明するための試験というのが、先に紹介した日本語試験との違いです。
| 試験言語 | 日本語 |
| 試験の実施方式 | CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式 |
| 受験資格者 | 17歳以上(インドネシア国籍の場合は18歳以上) ※ただし国内で試験を受ける場合は、17歳以上でも在留資格を有していること ※日本国籍を有する場合は不可 |
| 試験の実施回数 | 原則毎月実施 |
| 試験時間 | 30分 |
| 試験科目 | 全15問
|
| 合否通知 | 試験会場のコンピューター画面上/専用Webサイト |
| 受験手数料 | 1000円程度 |
| 合格基準(令和7年4月1日から適用) | 問題の総得点の73%以上 |
| 申込時の留意点 |
|
参考サイト:
厚生労働省/介護分野における特定技能外国人の受入れについてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html
厚生労働省/【介護分野】技能試験及び日本語試験(概要)
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000617599.pdf
プロメトリック/介護日本語評価試験|特定技能1号
https://www.prometric-jp.com/ssw/test_list/archives/2
日本国内に在留している場合 | 在留資格変更申請手続き
特定技能「介護」の試験に合格しても、在留資格の付与が保障されるわけではありません。申請については別途、在留資格変更許可申請の手続きを行う必要があります。日本国内に在留している場合の、在留資格変更申請手続きの流れを見ていきましょう。
参考サイト:厚生労働省/介護分野における特定技能外国人の受入れについて
(試験の概要/(1)受験申込手続のご案内/Ⅱ 申込み方法)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html
試験に合格する
在留資格変更申請の手続きを行うにあたっては、まず試験に合格していなければなりません。前述した日本語能力試験と介護技能評価試験、介護日本語評価試験に合格することを第一の目標としましょう。
雇用契約の締結
在留資格変更申請を行うには、事業所との雇用契約締結も必須です。介護分野の場合、特定技能外国人の雇用形態は「直接雇用」に限定されています。派遣等で雇用することは認められないので注意しましょう。また、報酬や労働時間などの労働条件も、日本人と同等以上にすることとされています。
特定技能「介護」の雇用契約における業務対象は、利用者の身体介護(入浴、食事、排せつの介助等)、レクリエーションの実施、機能訓練の補助等の支援業務とされています。
なお、2025年4月から特定技能の在留資格でも、一定の条件を満たせば訪問介護に従事できるようになっています。
【事業所側の雇用契約締結時の留意点】
- 雇用契約は書面で合意し、締結すること
- 雇用契約書は日本語と対象となる外国人材が理解できる言語で作成する
- 在留資格が許可されなかったときの対応について記載しておく(契約を無効にするのが一般的)
- 報酬、業務内容、労働時間を明確に記載する
- 契約内容は出入国在留管理庁の審査を受ける
参考サイト:
出入国在留管理庁/特定技能制度に関するQ&A
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/faq.html
支援計画の策定
支援計画の策定も、管轄の出入国在留管理庁への提出が法律で義務付けられています。事業所として、対象となる外国人材が日本で日常生活に不安なく、円滑に活動をできるよう支援計画を策定する必要があります。
支援計画の留意点としては、日本語とともに対象となる外国人材が理解できる母国語でも作成することです。必ず実施しなければならない義務的支援と、実施することが望ましい任意的支援とに分けて策定するといいでしょう。
【支援計画の義務的支援】
- 事前ガイダンス:雇用契約、活動内容、入国・在留手続きについての説明
- 出入国時の送迎:空港と事業所・住居間の送迎
- 住居や生活関連の確保・契約:賃貸契約、電気・ガス・水道や銀行口座の開設、携帯電話契約支援
- 公的手続き同行:健康保険や年金など官公署への手続き支援
- 生活オリエンテーション:日本のルールやマナー、公共交通機関利用等の説明
- 日本語学習の機会提供:日本語能力向上のための学習教材提供、日本語教室紹介など
- 転職支援:離職や転職希望時の職業紹介、キャリアコンサルタントなどの情報提供
- 苦情・相談対応:職場環境や生活における相談や苦情への助言・対応
- 日本人との交流:自治会など地域住民との交流についての情報提供
- 定期的な面談:本人や上司と3か月に1回以上の面談(労働基準法違反等がある場合の通報)
参考サイト:
出入国在留管理庁/支援計画の概要②
https://shiga-houmu.jp/wp-content/uploads/2020/09/%E6%94%AF%E6%8F%B4%E8%A8%88%E7%94%BB%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81.pdf
【支援計画の任意的支援例】
- 日本の気候の説明や入国時の服装についての情報提供
- 日本語能力試験(JLPT)の受験支援、日本語学校の授業料補助
- 資格取得者に対する優遇措置
- 雇用契約解除後の住居確保支援
- 地域住民交流時の有給休暇付与
- 入国時の日本の気候、服装に関する情報提供
在留資格変更許可申請
特定技能「介護」の試験に合格すれば「就労」へと目的が変化します。「留学」などを滞在目的としている場合は、就労が認められる特定技能「介護」へ切り替え手続きを行わなければなりません。雇用契約書や支援計画書とともに、管轄の出入国在留管理庁へ在留資格変更許可申請書を提出しましょう。
在留資格変更許可申請が必要な理由は、外国人が日本に滞在して活動を続けるには、活動目的を法務省(出入国管理庁)に認められていなければならないからです。(出入国管理及び難民認定法第20条)
活動目的は留学や就労などに分類され、許可を得た活動目的以外の活動を行うことはできません。在留資格変更許可申請の手続きを行い、許可されることで、今持っている在留資格ではできない別の活動を、一旦出国せずともできる資格が得られます。
出入国在留管理庁在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html
就労開始
在留資格変更許可申請によって在留資格が認められたら、介護施設での就労が可能となります。雇用契約に従って就労を開始しましょう。
特定技能「介護」の試験における合格率
介護技能評価試験の合格率はおおむね60~70%であることが多く、介護日本語評価試験は60~80%の合格率と言われています。
ただ、特定技能「介護」の試験における合格率は実施される回によってまちまちです。試験の種類や実施回数にも差があり、受験する年齢層や国(国内・海外)も異なるためと考えられます。
なお、国別の受験者数でみるとインドネシア、ミャンマーは国内受験者と同等かそれ以上の多さとなっています。試験の実施国も年々増えており、令和4年からスリランカ、インド、令和5年からはバングラデシュ、令和6年にベトナム、令和7年8月からはパキスタンでも実施された結果が出ています。
令和7(2025)年10月時点における、国別の介護技能評価試験合格率は次の通りです。
介護技能評価試験の合格率
| 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | |
| 国内 | 1264 | 894 | 70.7 |
| フィリピン | 152 | 110 | 72.4 |
| カンボジア | 20 | 20 | 100.0 |
| ネパール | 362 | 258 | 71.3 |
| インドネシア | 2237 | 1936 | 86.5 |
| モンゴル | 2 | 2 | 100.0 |
| ミャンマー | 1101 | 1033 | 93.8 |
| タイ | 52 | 48 | 92.3 |
| インド | 46 | 27 | 58.7 |
| スリランカ | 311 | 166 | 53.4 |
| ウズベキスタン | 3 | 2 | 66.7 |
| バングラデシュ | 164 | 129 | 78.7 |
| ベトナム | 126 | 116 | 92.1 |
| パキスタン | 2 | 0 | 0.0 |
参考サイト:厚生労働省/令和7年10月
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702_00009.html
特定技能「介護」から永住権を取得するには?

特定技能「介護」の資格を取得しても、在留期間は最大で5年までと定められています。ただし、帰国となる前に、国家資格である介護福祉士を取得すれば、在留資格「介護」への変更申請ができるようになり、永住権を取得することも可能です。
永住権取得までの流れ
永住権取得ができれば、外国人材側もさまざまなメリットが生まれます。雇用する事業所側としても、永続的な人材確保につながる可能性があるでしょう。特定技能「介護」資格取得後から永住権を取得するために必要なステップを見ていきましょう。
特定技能1号で就労しながら介護福祉士の資格取得を目指す
介護福祉士の資格は介護に関する知識や技術を習得していることを証明する国家資格です。介護福祉士国家試験を受験するには、一定の実務経験と研修の修了が必要とされています。具体的には、「3年以上の介護等の業務経験(従事日数540日以上)」および「介護職員実務者研修の修了」という要件を満たしていなければなりません。
取得までのルートはいくつかの選択肢がありますが、特定技能「介護」から資格取得を目指す場合、働きながら介護福祉士の試験を受験するのが一般的です。特定技能「介護」での業務経験は、介護福祉士の受験資格にある「実務経験」に含めることができるからです。実務経験については、試験実施年度の3月末までの条件をクリアしていれば、受験資格が認められます。
ちなみに、介護福祉士の資格取得については、養成施設などで実務者研修を修了している場合も認められます。そのほか、実務者研修にかわって、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(3号研修を除く)を修了している場合も認められています。
在留資格「介護」への変更
介護福祉士の試験に合格した場合、特定技能「介護」から在留資格「介護」への変更申請が可能となります。在留資格「介護」は、専門的な知識と技術を持つ外国人介護福祉士が日本で働くための資格であり、介護関連の在留資格の中では最も専門性が高いものとされています。
参考サイト:出入国在留管理庁/在留資格「介護」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/nursingcare.html
永住許可の要件を満たし申請
在留資格「介護」を申請し、許可が下りれば、永住許可へ在留資格変更申請をすることも可能です。指定された申請基準を満たし、条件をクリアすれば、在留資格「永住者」を取得できます。
在留資格「介護」の主な特徴とメリット
在留資格「介護」の資格を取得している特定技能外国人は、介護福祉士を保有しているということです。介護分野において高度な専門的知識や技術を持つ人材であるといえるでしょう。安定した人材確保のためにも、日本で長く働いてもらえるよう、在留資格「介護」を取得した場合の特徴やメリットについてもご紹介します。
参考サイト:
厚生労働省/専門性を活かして在留資格「介護」で働く外国人介護職員活躍のためのガイドブック
https://www.jaccw.or.jp/R5guidebook.pdf
在留期間の制限なし
特定技能「介護」の資格では、通算5年の在留制限がありますが、在留資格「介護」の場合は期間制限がなくなるのが特徴の一つです。随時更新は必要ですが、基準に適合する限り期間の制限なく永続的に日本で就労可能となります。外国人材側にとっても、期間を気にせず働けるようになることで、生活が安定しやすくなるでしょう。
雇用する事業所側にとっても、より経験豊富で国家資格に合格できるレベルの専門性があり、長く勤めてもらえる可能性が高い人材の確保が期待できるようになります。人材不足に悩まされている事業所にとっては、問題解決の糸口になるかもしれません。
家族の帯同が認められる
在留資格「介護」が取得できると、家族の帯同も認められます。対象となるのは、配偶者と子どもです。特定技能「介護」の資格では家族の帯同は認められませんが、介護福祉士に合格し、在留資格「介護」を得られれば、配偶者や子どもを日本に呼び、一緒に生活できるようになります。生活が安定すれば、事業所にとっても人材の定着にもつながるでしょう。
業務範囲の制限なし
在留資格「介護」を取得すると、介護分野における業務内容の制限もなくなります。就労時間や雇用形態も自由度が増し、夜勤の担当も可能です。
特定技能「介護」の資格でも訪問介護サービスへの従事が認められましたが、客観的に見て介護福祉士の資格保持者のほうが、介護に関する知識の深さや技術力も高さなどの専門性は高いと考えられます。日本語能力も十分にあると考えられ、コミュニケーション能力も重要な介護の現場では、活躍の場が期待できるでしょう。
また、特定技能外国人にとっても、介護福祉士の資格を取得することは、将来の選択肢を増やすチャンスとなりえます。
無資格の職員よりもリーダー職や後輩指導など、責任のある役職に就く機会が増えるでしょうし、実績があれば転職時において待遇面での優遇など自分の価値を高める効果が期待できるからです。将来的に介護福祉士として5年以上の実務経験を積んで、ケアマネージャー(介護支援専門員)へとキャリアアップする選択肢も出てくるでしょう。
永住権の申請
在留資格「介護」の更新を続けると、永住権の申請も可能になります。永住権の取得条件は、「日本で5年以上就労資格や居住資格を有していること」かつ「10年以上日本で暮らしていること」です。
永住権はほかの在留資格に比べ、活動範囲や期間制限などが大幅に緩和されるのが特徴です。ビザの更新手続きも不要となるため、面倒な手続きをする必要もなくなります。
介護福祉士として日本に在留し、就労を続けることで、犯罪などの問題を起こさない限り、永続的な日本での滞在と就労のチャンスが生まれるでしょう。なお、永住権の申請について必要な要件は下記の通りです。
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 申請者の永住が日本国の利益に合すると認められること
参考サイト:出入国在留管理庁/永住許可に関するガイドライン(令和7年10月30日改訂)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html
特定技能外国人の介護福祉士国家試験対策

介護福祉士の資格を取得することは、特定技能外国人にとっても事業所にとってもメリットが大きいといえます。とはいえ、国家試験である以上簡単な試験とはいえません。
合格を達成するためには試験対策にも力を入れる必要があるでしょう。特定技能外国人が介護福祉士試験を受験する場合、試験対策として必要なこと、事業所側としてサポートしたいポイントも押さえておきましょう。
特定技能外国人の介護福祉士国家試験合格率
厚生労働省によると、2025年1月26日に実施された第37回介護福祉士国家試験では、特定技能外国人の合格率は33.3%となっています。全体の合格率は78.3%であったのに対し、厳しい結果といえそうです。
参考サイト:厚生労働省/第37回介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移
https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/001457250.pdf
特定技能外国人の介護福祉士国家試験対策
特定技能外国人の介護福祉士国家試験合格率が低い背景としては、日本語の壁があると考えられます。
介護福祉士の試験では専門用語や長文読解、日本語における微妙な表現の理解が求められるため、本人はもちろん、事業所としてもサポートする必要があるでしょう。
事業所としてできるサポートには、受験する特定技能外国人が勉強に集中できるような勤務調整もあげられます。介護福祉士対策の講座受講や教材費用を補助するなど、経済的負担の軽減する配慮も必要となるでしょう。
あらかじめ資格手当を定めておくことも、合格へのモチベーションアップに効果的と言えます。特定技能外国人の方は、実家への仕送りや仕事への意欲など、昇進や昇給に対し高い関心を持っていることが多いからです。
試験に合格した際の査定への影響や手当の支給など、具体的な説明をしておくと、より学習意欲を高める効果が期待できます。
日本語能力の向上
介護福祉士試験は専門性が高い試験なので、合格のためには、試験問題を理解したり読み解いたりする日本語能力の向上は必須です。
日本語能力を高めることは、通常業務においても円滑な業務進行、コミュニケーションにつながると考えられます。事業所側としても、丁寧なサポートが必要となるでしょう。
受験する特定技能外国人が日本語能力を高める方法として、下記の方法を参考にしてみてください。
日本人職員とのコミュニケーションを増やす
交流や会話の機会を増やすことで、リアルな対話によりリスニング力、語彙力、表現力の向上や日本語の定着が期待できます。日本人社員と特定技能人材との相互理解につながり、良好な人間関係構築にもつながります。
会話時は相手のレベルに合わせ、わかりやすい日本語で会話することが大切です。
例)シンプルな文法を用いる、短く切って話す、曖昧表現を避ける、ゆっくりと話す、ジェスチャーを加えるなど。
参考:出入国在留管理庁・文化庁「やさしい日本語ガイドライン」
研修・講習を行う
教育担当者など職員が研修・講習を企画することで、職場で使用頻度の高いフレーズや単語などを重点的に学習することができます。
介護福祉士国家試験を実際に担当したことがある担当者であれば、試験問題をより深く学ぶことができるでしょう。
まとめ

深刻な高齢化が進む日本において、介護分野における人材確保は重要な問題といえます。専門性も必要とされる現場であることから、特定技能「介護」を取得した外国人材は雇用側にとって貴重な人材といえるでしょう。
一方で、特定技能「介護」の資格だけでは在留期間に期限があり、永続的な雇用は困難です。事業所としては国家試験介護福祉士試験合格を目指すことが必須条件といえるでしょう。
介護福祉士試験のハードルは低くありませんが、合格を目指す魅力的な選択肢と考えられます。特定技能外国人にとっては永住権申請や将来的なキャリアアップなどのメリットが生まれますし、事業所としても在留期間や業務内容を気にせず雇用を続けることができるからです。
勤務時間や経済的な補助など、学習面・生活面のサポートなどの負担は必要ですが、ゆくゆくはより日本語能力が高く、学習意欲もある質の高い人材を長期的に雇用することにもつながります。
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