介護保険事業の運営とは
介護保険事業を運営するには、都道府県に申請し指定・許可を得ることが必要です。具体的には、申請後都道府県により設備基準や運営基準を満たしているか審査後に介護サービス事業所として指定されます。定款にの事業目的に申請する事業が記載されているかも重要です。人員配置基準や設備基準は、厚生労働省等で定められている基準を満たしているか審査されます。事業の種類は、訪問介護・通所介護・短期入所生活介護・福祉用具販売等の福祉系サービスと、訪問看護ステーション・訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション等の医療系サービス、また障害福祉分野にもまたがる共生型訪問介護・共生型通所介護等の共生型サービスがあります。
共生型サービスとは、同じ事業所で介護保険サービスと障害福祉サービスを一体的に提供する事業です。障害福祉事業として指定を受けていない事業所のサービスであっても、介護保険の指定を受けていれば市町村の判断によって障害福祉サービスとして給付を受ける事ができます。
介護保険制度導入後の規制緩和
2000年4月に介護保険制度が施行されてから、社会福祉法人でなくても介護保険サービスを提供できるように規制緩和が行われました。規制緩和により、株式会社を始めとして民間企業が介護保険サービスを行うようになりました。それにより、競争原理が働きサービスの選択肢が増えています。福祉分野で事業展開していない企業でも、培った特色を前面に出して多種多様な運営を行っています。飲食業界であれば、おいしい食事を売りにしたり、建築業界であればバリアフリーや入浴設備等の施設の構造面を売りにする事業もあります。福祉事業は、社会貢献的な側面もあるため、利用者サービスとともに企業のイメージアップにも役立っています。しかし、介護保険事業はボランティアではなくビジネスであるため利用率の向上に配慮して利益を上げなければなりません。競争原理で、特にデイサービスでは利用者の取り合いになっていることもあります。介護報酬は、実際に利用した時に給付を受けられます。逆に言えば、契約していても休み(サービスを利用しない)になると利益は減り運営に支障をきたします。サービスの質の向上を行い、売りを打ち出すことでアピールするというあるべき状態ではなく、どんどん契約を取るために契約件数のノルマを課すという状態では現場は疲弊してしまいます。利益とサービスの質両面での向上が運営側に求められています。