介護職用 事故報告書の基本・注意すべきポイント

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介護職

介護職として働いていると避けては通れないものがあります。それは事故です。事故が起きれば適切に対処するのはもちろんですが、同じ事故が再発しないように事故報告書を作成して、事故が起こった原因などを解明していきます。介護職の中には作成の経験があまりない方もいますし、作成したことがない方もいるかと思います。ここでは事故報告書を適切に作成するためのポイントや、作成時に注意したいポイントについてご紹介していきます。

 

事故報告書作成の基本

事故報告書にはどのような基本があるのでしょうか?せっかく事故報告書を作成しても、見た人に伝わらないといけませんので、きちんとポイントを押さえて書くようにしましょう。必ず押さえないといけない基本のポイントについてお伝えします。

何が起こったのかは時系列で書く

書く事故報告書を書く際に、どのような事故が起きたのか各部分がありますが、これは必ず時系列として箇条書きで記入していくと良いでしょう。例えば、ベッドから転落している方を発見したとします。以下のように記入するとわかりやすいです。

0時に訪室したところ〇〇さんがベッドの右側に座り込んでいた。

0時10分に看護師が観察をした。外傷、傷みなし。

0時50分にナースコールあり、足が痛いと訴えあり、右大腿分が赤く腫れていた。

こういったように、何時に何があったのか細かく記入をすると、見た人は事故の様子や事故後の対応などをイメージしやすいです。

 

事故後の対応は非常に大切なポイント

事故が起きた際の状況を細かく記入していくことは、事故の状況を詳細に周知するためには大切なポイントであると思います。それと同じぐらい事故後の対応を記入するのも、事故報告書を作成する際に気をつけたいポイントです。

それでは、なぜ事故後の対応を記入することは大切なのでしょうか?その理由としては、家族や本人からの訴訟等に備えるためです。現在の介護業界は事故による訴訟が増加してきています。特に事故が起きた際の対応に失敗した場合、その結果高齢者が死亡してしまった、重い障害を残してしまったという場合は、訴訟に発展する可能性があります。その場合に、適切に処置をしていたとわかれば責任を負わずに住む可能性が高いのです。例えば、喉を詰めてしまった高齢者を見つけた。適切に処置をしたのにも関わらず、死亡してしまった。事故報告書には事故の際の状況は記入されていたが、事故後の対応について詳しく書かれていなかった。その後裁判があり、事故後の対応が不適切だと疑われてしまい、状況確認などで精神的にも体力的にも追い詰められたという事例もあります。事故後の対応をしっかりと記入するのは、自分を守るために大切であるといえます。

 

原因と改善

事故報告書をなぜ書くのかは、その事故がなぜ起こってしまったのか、その事故に対する原因を解明して2度と同じようなことが起きないように、改善案を話し合うためです。例えば、高齢者が転倒してしまった事故が起きたとします。その原因を解明していくと、高齢者の靴のサイズが合っておらず、途中で靴が脱げて転倒してしまったことがわかりました。解決策としては適切な靴を購入すること、同じようなことが起きないように、ほかの高齢者に対しても靴の見直しをして転倒を防止したという改善案ができました。上記のような流れを作るために、事故報告書には事故の状況、その後の対応、原因と改善案の欄が必要になります。また、改善案については事故報告書作成者が一人で考えて記入するのではなく、職員が集まりカンファレンスをして、その結果どのような対策案が生まれたのか記入できるようにしておきましょう。又、法人内で事例を共有し、同様の事故を経験していない施設にも、教訓にしていただきたいものです。

 

事故報告書作成の際に注意すべきポイント

事故報告書はきちんと作成をしませんと、読み手によっては違った方に取られてしまったり、事実が的確に伝わらない可能性もありますので注意すべきです。事故報告書ではどのような点に注意をしていけば良いのでしょうか?

 

誰が見てもわかるように記入する

事故報告書で注意したいこととしては、主観的に書かないということです。主観的に書いてしまいますと、自分の思いが入ってしまい事実とは異なってしまうことがあります。例えば、認知症の高齢者が他の高齢者を勘違いして叩いてしまった、叩かれた高齢者は頭に傷を負ってしまったという事故があったとします。発見者は認知症高齢者の表情を見て、「とても怒った顔をしており、何か恨みがあったのではないかと思います」と書いたとします。これは報告書としてはNGです。怒った表情はあくまで主観的であり、その主観から恨みがあったと事実と異なる可能性のものを想定して書いているからです。誰が見ても同じような受け取り方になるような文章で書く必要があります。

 

書き直しに修正ペンを使わない

事故報告書をパソコンで作成するところもあれば、手書きで記入するところもあります。手書きで記入する際は、誤って書いてしまい修正しないといけない場面もあるかと思います。この場合、修正ペンなどで修正しようとする方も多いのですが、基本的に事故報告書に対して修正ペンはNGです。2重線を引いて上から自分の印鑑を押すようにします。どのような内容を書き損じて、どのような内容に書き直したかの事実が必要になってきます。これも前述したように裁判等で、事故報告書が必要になったときに修正ペンで修正をしてしまうと、不正を疑われてしまうからです。

 

その日の内に作成する

事故が起きた際は様々な対応があるかと思いますので、その対応に追われて仕事が手一杯になる可能性があります。場合によっては残業になることもあるでしょう。その場合、残業をして事故報告書を作成するのは億劫になり帰りたくもなりますが、事故報告書は必ずその日のうちに作成するようにしないといけません。やはり人の記憶は日が経つにつれて忘れてしまうもので、一日でも書くのが遅くなれば忘れてしまうこともあります。そのため、いくらしんどくても事実を残すという面からその日のうちに作成することが望ましいといえます。

 

まとめ

事故報告書は事故があった際の事実の記入、その原因などを調べて、対策を講じるためには必要な書類になります。慣れないうちはどのように書いたらいいか分からないかもしれませんが、ポイントとしては「時系列で書く」「誰が見てもわかるように書く」ということを意識すれば、書けるようになります。同じような事故を起こさないようにも、事故報告書を的確に作成するようにしましょう。

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