実務者研修を働きながら無料で取得するコツは?お得な受講方法を解説

この記事を読むのにかかる時間: 2

 

実務者研修は、介護職員初任者研修からステップアップするための上位資格です。また、介護福祉士国家試験を受験するための要件のひとつにもなっています。その一方で、実務者研修は5~20万円ほど(詳細は保有資格や受講先により異なる)と高額です。費用が気になって悩んでいる方も多いでしょう。

実は、近年は実務者研修の受講料が免除されたり、費用助成を受けたりできる制度が充実してきているのをご存じでしょうか。

今回は、普通に受講すると高額な実務者研修を無料でお得に受講できる方法をご紹介します。

 

実務者研修を働きながら取得する人はいる?


実務者研修は、介護職員初任者研修の上位資格として位置付けられていますが、無資格でも受講できます。また、介護福祉士国家試験を「実務経験ルート」で受験する場合は実務者研修の修了が必須要件のひとつになっています。そのため、働きながら取得できる資格として知られています。

 

実務者研修を働きながら取得する人の割合

2024年1月に実施された国家試験の合格者のうち仕事をしながら受験した人の割合は87.8%でした。

参照:厚生労働省 第36回介護福祉士合格発表 参考」

働きながら介護福祉士を取得する場合は実務者研修の修了が必須である実務経験ルートで受験するケースが大半です。

養成施設や高等学校等のルートで合格した割合がわずか12.1%であることから、合格者のほとんどが働きながら実務者研修を修了して国家試験に合格していると考えられます(実務経験ルート)。

 

実務者研修が無料になる制度一覧

実務者研修は普通に受講すると5~20万円程の受講料が発生しますが、さまざまな制度をうまく活用すれば無料で資格を取得できます。無料になる制度には、受講する時点で受講料が免除になるものや、後日受講料相当額がキャッシュバックされるもの、貸し付けた受講料相当額の返済を免除する制度などがあります。

 

主な制度や実施先は、以下の通りです。

 

制度の名称 制度の実施主体
職業訓練 ハローワーク
介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度 都道府県社会福祉協議会
介護福祉士資格取得支援事業 各都道府県または市区町村
就職支援制度 人材紹介会社や介護施設を運営する団体等が実施する実務者研修講座

※実施団体により制度の有無が

資格取得支援制度 勤務先の法人

※法人により制度の有無や内容が

 

それぞれの制度によって費用免除の方法が異なるため、制度ごとに概要をご紹介します。

 

職業訓練

職業訓練とは、ハローワークが実施している制度です。職業訓練には、以下の3種類があります。

 

  • 公共職業訓練(雇用保険受給中の方向け)
  • 介護労働講習(雇用保険受給中の方向け)
  • 求職者支援制度(雇用保険を受給できない方向け)

 

制度によっては選抜試験を突破したり一定の要件を満たしたりする必要がありますが、無料で実務者研修を取得できます。また、求職者支援制度の場合は実務者研修が無料になるだけでなく、要件を満たせば訓練期間中に月額10万円の職業訓練受講給付金を受給することも可能です。

 

制度によって利用条件や募集時期が異なるため、詳細は最寄りのハローワークにお問い合わせください。

 

 

介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度

介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度は、各都道府県社会福祉協議会が実施している制度です。実務者研修受講に必要な費用を貸し付け、一定の要件を満たした場合に返済を免除する制度です。資格取得と同時に介護の仕事をしたい場合だけでなく、すでに介護の仕事に就いている方でも対象です。

 

ここでは、静岡県社会福祉協議会が実施する介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度の概要をご紹介します。

 

<静岡県社会福祉協議会の場合>

貸付額 上限20万円
貸付の対象 貸付の対象:次の経費に充当するもの。

  • 1.実務者研修施設への授業料、実習費、教材費等
  • 2.参考図書、学用品、交通費、国家試験の受験手数料等
貸付の条件 条件1(申請者の住所)

次のいずれかに該当する受講者

  • 1.県内に住民登録があり、研修の修了後、県内で介護業務に従事する者。
  • 2.住民登録は県外だが、県内の実務者研修施設の受講者であって、研修の修了後、県内で介護業務に従事する者。
  • 3.入講するまでは県内に住民登録があったが、入講のためやむを得ず県外へ転居した受講者であって、研修の修了後、県内で介護業務に従事する者。

 

条件2(試験の合格と介護業務への従事)

実務者研修の修了日から1年以内に国家試験に合格し、介護福祉士資格の登録を行った後、2年間、引き続き県内で介護業務に従事すること。

なお、災害や疾病等で国家試験を受験できなかった場合や合格できなかった場合は、特例として、実務者研修の修了した年度の翌々年度までの国家試験に合格した日から1年以内に資格の登録を行った後、2年間、介護業務に従事することとなります。

(例:平成28年度に実務研修を修了した場合、28年度試験が不合格でも29年度、30年度の試験までは返還猶予が認められる。ただし、次の試験を必ず受験する意思表示が必要。)

 

条件3(連帯保証人)

連帯保証人を用意できること。

なお、連帯保証人に資力がないと判断される場合、2人目の連帯保証人を求めることがあります。

返済免除要件 条件2がそのまま返還免除の要件となります。国家試験に合格し、資格の登録を行い、介護福祉士として2年間介護業務に従事すれば、貸付金の返還免除の対象となります(書類手続が必要)。

なお、特例期間中に試験合格しなかった場合や介護業務を2年未満で辞めた場合、貸付時の条件に反するため、貸付金の返還手続が発生します。

※参照:介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度

 

なお、介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度は各都道府県社会福祉協議会が実施している制度のため、お住まいの都道府県によっては制度の内容が異なる場合があります。詳細はお住まいの都道府県に所在する社会福祉協議会にてご確認ください。

 

静岡県社会福祉協議会 貸付の窓口

〒420-8670

社会福祉法人静岡県社会福祉協議会(生活支援課)

電話:054-254-5244/ファクス:054-251-7508

 

 

介護福祉士資格取得支援事業

介護福祉士資格取得支援事業は、主に都道府県や市区町村が実施する介護人材確保政策に関する制度です。介護施設等で従業員が働きながら実務者研修を取得した際の費用を雇用主が助成した場合に、自治体等が従業員の資格取得を支援した雇用主に対して1人当たり10万円を上限に助成金を給付する制度です。

 

助成金の申請については、費用負担の内容によって以下の2パターンがあります。

 

  • ●費用の全額を雇用主が負担した場合 → 雇用主が申請
  • ●費用の全額または一部を受講生が負担した場合 → 受講生

 

お住まいの地域によっては実施していない場合があるので、興味がある方は住民票がある自治体もしくは都道府県の担当窓口に問い合わせてみましょう。

 

 

就職支援制度

就職支援制度とは、実務者研修修了後もしくは受講中からスクールが指定する介護施設に就職し、一定の要件を満たした場合に、実務者研修の受講料が実質無料になる制度です。実施団体によって、受講料が免除になる場合と、受講料に相当する額が後日キャッシュバックされる場合があります。

 

この制度は、主に介護施設や介護人材紹介業と同系列のスクールや、提携関係を結んでいるスクールによくみられる減免制度です。全てのスクールが実施しているわけではない点には留意しましょう。

 

都道府県社会福祉協議会が実施する「介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度」と似ている制度ですが、細かい部分に違いがあります。双方の違いを以下の表にまとめたので、ご自身の希望に応じて活用するサービスを選ぶのもよいでしょう。

 

<介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度と就職支援制度の違い>

介護福祉士実務者研修

受講資金貸付制度

就職支援制度
実施主体 都道府県社会福祉協議会 民間のスクール
助成内容 受講料相当額を貸し付け、介護福祉士登録と一定期間の就労を要件に返済を免除する 在学中もしくは修了後にスクールが指定した施設にて一定期間就労した場合、受講料の支払い免除もしくは相当額をキャッシュバック
メリット ●複数の講座から受講先を選択できる

●修了後に選択できる勤務先が幅広い

●介護福祉士の取得までは求めない場合が多い

●指定されている就労期間が比較的短い(0.5~1年程の期間設定が多い傾向)

デメリット ●返済免除になる要件が比較的厳しい(介護福祉士の合格と、2年間の継続した勤務が必要)

●対象となる人数が少ない

●制度を実施しているスクールが限られている

●修了後の勤務先の選択肢が少ない

就職支援制度とは、実務者研修を無料で提供することによって関連施設の人材確保や人材派遣業の効率化を狙ったWin-Winの関係を目指す仕組みです。資格取得を検討している立場としては高額な受講料が実質無料になるだけでなく、就職先も見つけることができる制度といえます。

 

資格取得支援制度

ここでいう資格取得支援制度とは、勤務先が福利厚生や人材育成の一環として従業員の資格取得を支援する制度を指します。具体的には、介護職員初任者研修や実務者研修を従業員が受講した場合に、その受講料の一部または全額を法人が負担するという仕組みです。

 

法人が従業員の資格取得を支援するのには、大きく以下2つの理由があるからです。

 

  • ●専門的な資格を取得させることが人材育成につながり、サービスの質も担保できる
  • ●介護福祉士が一定数以上の割合いると介護報酬に加算される仕組みがあるため、介護福祉士の受験資格である実務者研修を取得させ、将来的に介護福祉士保有者の割合を担保したい

 

このように、資格取得支援制度は資格が欲しい人だけでなく勤務先にもメリットがある取り組みです。次の章では、資格取得希望者から見た資格取得支援制度のメリットについてご紹介します。

 

働きながら実務者研修を無料で取る!資格取得支援制度


資格取得支援制度は、勤務先から費用の助成を受けることによって無料で実務者研修を取得できる制度です。法律で実施が義務付けられているものではないので、全ての法人が実施しているわけではない点には注意が必要です。

 

実は、資格取得支援制度には、ここまでご紹介してきたさまざまな実務者研修が無料になる制度と比較して優れている点があります。自分にはどの制度が適しているのか分からず迷っている場合は、資格取得支援制度を活用して実務者研修を無料で取得することがおすすめです。

 

資格取得支援制度を利用するメリット

資格取得支援制度を活用して実務者研修を取得するのには大きな2つのメリットがあるため、非常におすすめです。そのメリットとは、以下の2つです。

 

  • ●複雑な手続きが必要ない
  • ●働き慣れている職場にいながら取得できる

 

それぞれのメリットについて、詳しく確認していきましょう。

 

【複雑な手続きが必要なく、利用しやすい】

働きながら実務者研修を無料で取得できる資格取得支援制度のひとつめのメリットは、「複雑な手続きが必要ない」という点です。

 

資格取得支援制度は、主に実務者研修の受講料を勤務先の法人が肩代わりしてくれる仕組みです。そのため、他の制度とは違って複雑な利用申請等の手続きが必要ありません。以下に、各制度の手続き方法や活用にあたってハードルになる可能性がある点をまとめました。

 

各制度の手続き方法や制度活用の難易度

制度名 手続き方法や制度活用の難易度
資格取得支援制度 勤務先に実務者研修の受講意向を伝え、指示に従う。法人によっては資格取得後一定期間継続勤務しないと返金を求められる場合がある。

※勤務先により詳細は異なる

職業訓練 所定のさまざまな要件を満たしたうえでハローワークに申請する。選考試験に合格しないと受講できない場合がある
介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度 各都道府県の社会福祉協議会にスクールを通じて申請する。書類が多く、所定の人数に達した場合は対象外になる場合もある。介護福祉士に合格後2年間同一施設で勤務する必要性があるなど、無料になるためのハードルが比較的高い
介護福祉士資格取得支援事業 法人で申し込む場合と、受講生本人が申し込む場合が状況により異なる。同様の制度で初任者研修が無料になるケースは多いが、自治体からの補助率が最大10万円のため、実務者研修にまで対応している団体が少ない。
就職支援制度 スクールによって実施の有無が異なる。申請はスクールに行うが、人数制限が設けられている場合がある。資格取得後(もしくは受講中から)スクールが指定する施設で働く必要があり、勤務先の選択肢が限定される。

 

このように、資格取得支援制度は他の制度と比較して申し込みから制度の活用まで難易度が低く、利用しやすい点がメリットです。

 

【働き慣れている職場にいながら取得できるため、力がつく】

働きながら実務者研修を無料で取得できる資格取得支援制度のふたつめのメリットは、「働き慣れている職場にいながら取得できる」という点です。

 

例えば「就職支援制度」の場合、受講料が無料になるためにはスクールが指定する施設で一定期間働かなければなりません。その点「資格取得支援制度」の場合は、すでに働いている現在の職場で勤務を続けながら学習ができるため、余計なストレスを感じることなく仕事と学習の両立が可能です。

 

また、学習で学んだことをすぐ現場で実践することが復習となって自らの知識や技術の定着につながります。そのため、実務者研修後に控えている介護福祉士国家試験対策としても非常に大きなメリットです。

 

資格取得支援制度がある求人のご紹介


株式会社アクタガワの介護職を募集しています。

【事業者概要】

静岡市葵区常盤町に本社があります。
介護施設は静岡県内に27施設109事業所を展開、マスコミ各社にも紹介され注目されている企業です。
今後も、静岡県内全域に新規施設開設を予定しております。

静岡県内で大手ならではの充実した研修制度と福利厚生で、将来に亘り安心して勤めていただくことができます。

 

 

実務者研修を働きながらお得に取得しよう


 

今回の記事のポイント!

  • 実務者研修は普通に受講すると高額だが、無料で取得できる方法がある
  • 勤務先から受講料を肩代わりしてもらう「資格取得支援制度」は、現在の職場で働きながら複雑な手続きなく利用できるのが特におすすめ

 

今回ご紹介した制度はそれぞれにメリットやデメリットがあります。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、利用する場合は個人の状況や希望に応じてよく検討・選択する必要があります。

 

どのように制度を活用したらいいか悩んでいる場合は「ふじのくに静岡介護求人ナビ」がおすすめです。

資格取得支援制度がある求人の中からあなたに合ったおすすめ求人を紹介してくれるため、気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。

実務者研修は普通に受講すると高額なので、無料になる制度を使って賢くお得に取得しましょう。

 

求人探しをもっと簡単に、もっと楽しく。

次のキャリアを一緒に考えてみませんか?

ふじのくに静岡介護求人ナビ
link 関連記事

求人 人気キーワード