「初任者研修とヘルパー2級では、何が違うのだろう?」「ヘルパー2級は、もう取得できないの?」
このようにお悩みではありませんか?
初任者研修とヘルパー2級は、どちらも介護の入門資格です。ただし、制度の変更により、現在では異なる位置づけとなっています。
この記事では、介護職を目指す方、または既にヘルパー2級をお持ちの方へ、2つの資格の違いや、制度変更のポイント、今後のキャリアパスについて解説します。
この記事を読めば、資格に関する疑問が解消され、今後のキャリアプランを明確にできますので、最後までお読みください。
Contents
初任者研修とヘルパー2級とは?基本をおさらい
初任者研修とヘルパー2級は、どちらも介護の仕事に就くための入門資格です。しかし、現在では制度が変更され、ヘルパー2級は廃止されています。それぞれの資格の概要について確認していきます。
初任者研修とは
初任者研修は、介護職として働くための入門資格です。修了すると、介護の基礎知識や技術を習得した証明になり、訪問介護を含む幅広い介護現場で働けます。
◯初任者研修のポイント
- 基礎から学べる: 介護保険制度、高齢者の心身の特徴、食事・入浴・排泄介助などの介護技術、緊急時の対応などを体系的に学びます。
- 無資格・未経験でも受講OK: 介護の経験や資格がない方でも受講できます。年齢・学歴制限もありません。
- 全国で受講可能: 各地の介護事業者やスクールで開講されており、受講期間はさまざまです。土日のみ開催されている講座もあり、ライフスタイルに合わせて選べます。
ヘルパー2級とは
ヘルパー2級(正式名称:訪問介護員2級養成研修)は、2013年3月まで実施されていた、訪問介護員(ホームヘルパー)養成のための資格です。主に利用者の自宅で、身体介護(食事・入浴・排泄介助など)や生活援助(調理・洗濯・掃除など)を行うための知識・技術を習得する内容でした。
2013年4月の介護保険法改正でヘルパー2級は廃止され、現在は初任者研修に移行しています。そのため、新規にヘルパー2級は取得できません。
ただし、すでにヘルパー2級の資格を保有している方は、介護職員初任者研修修了者と同等とみなされ、介護の仕事に就くことが可能です。また、履歴書にも「訪問介護員2級養成研修課程修了」と記載し、資格を所有していることを面接でアピールできます。
項目 | 介護職員初任者研修 | ホームヘルパー2級 |
---|---|---|
資格の位置づけ | 入門資格 | 廃止(2013年以前の資格) |
受講時間 | 130時間 | 130時間 |
受験資格 | なし | なし |
資格試験 | 修了評価試験 | 修了評価試験 |
取得後の仕事 | 訪問介護、施設介護 | 訪問介護、施設介護 |
初任者研修とヘルパー2級の主な違い
初任者研修とヘルパー2級は、どちらも介護の基礎を学ぶ資格ですが、いくつかの違いがあります。
ここでは、主な違いである「受講内容」「取得方法と難易度」「就職・キャリアへの影響」の3つのポイントを比較します。
受講内容の違い
ヘルパー2級から初任者研修への移行に伴い、受講内容が変更されました。主な変更点は以下の3つです。
- 実習の有無: ヘルパー2級では30時間の現場実習が義務付けられていましたが、初任者研修では廃止されました。
- スクーリング時間: 実習がなくなった分、初任者研修ではスクーリング(通学)の時間が増え、座学での学習がより重視されるようになりました。
- 「認知症の理解」科目: ヘルパー2級にはなかった「認知症の理解」科目が、初任者研修で新設されました。増加する認知症の方への理解と対応を深めることが目的です。
・厚生労働省.「介護員養成研修の取扱細則について」.平成30年版,2024.https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/kaigoinnyouseikennsyuu.pdf,(参照 2025-2-6)
・厚生労働省.「訪問介護員養成研修等」.平成18年版,2012.https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/03/dl/s0329-7e_0001.pdf,(参照 2025-2-6)
取得方法と難易度の違い
初任者研修とヘルパー2級では、資格の取得方法と難易度に違いがあります。
ヘルパー2級は、研修のカリキュラムを全て修了すれば、資格を取得できました。一方、初任者研修では、筆記試験が導入されたため、難易度が上がったように感じるかもしれません。
しかし、心配する必要はありません。初任者研修の筆記試験は、研修内容をきちんと理解しているかを確認するためのものです。講義をしっかりと聞き、理解していれば、問題なく合格できます。不明な点があれば、その都度、講師へ質問し解決していきましょう。
就職・キャリアへの影響の違い
就職・キャリアへの影響において、初任者研修とヘルパー2級に大きな違いはありません。どちらの資格も介護職への就職に有利であり、その後のキャリアアップにつながります。
ヘルパー2級は廃止された資格ですが、現在も初任者研修修了者と同等とみなされます。求人応募の際は、履歴書に「訪問介護員2級養成研修課程修了」と記載することが可能です。
さらに、どちらの資格も上位資格である介護福祉士を目指す上で役立ちます。具体的なメリットは、初任者研修またはヘルパー2級の修了者は、実務者研修の一部の科目が免除されることです。
実務者研修を修了し、実務経験を積むことで、国家資格である介護福祉士の受験資格が得られます。
ヘルパー2級はもう取得できない?制度変更のポイント
現在では、ヘルパー2級の資格を新規に取得できません。2013年度の介護保険法改正により、ヘルパー2級は「介護職員初任者研修」へと移行しているからです。
制度変更の主な理由は、介護職のキャリアパスを明確化し、介護サービスの質を向上させるためです。以前は、ヘルパー2級から介護福祉士を目指すルートもあれば、ホームヘルパー1級などを取得してから介護福祉士を目指すルートもあり、介護職のキャリアプランが複雑でした。
また、それぞれの研修で学ぶ内容や技術レベルにばらつきがあり、介護福祉士の質を一定に保つことが難しいという問題もあったのです。
そこで、複雑だった資格制度を、「初任者研修」→「実務者研修」→「介護福祉士」→「認定介護福祉士・ケアマネジャー」というシンプルな形に整理しました。これによって、初任者研修をスタートとして、段階的にキャリアアップしていく仕組みをつくったのです。
・厚生労働省.「今後の介護人材養成の在り方について(概要)」.平成23年版,2011,https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000011uv3-att/2r98520000011uwt.pdf(参照 2025-2-6)
どちらの資格を持っていると有利?転職・就職での評価
初任者研修とヘルパー2級のどちらの資格を持っていても、就職や転職での評価に大きな差はありません。ここでは、初任者研修を取得するメリットや活用法、実務者研修との違いについて解説します。
初任者研修を取得するメリットとおすすめの活用法
初任者研修を取得する主なメリットは、以下の4つです。
- 介護の知識・技術が身につく:介護職に必要な基礎的な知識や技術を体系的に学べます。介護保険制度の概要から、高齢者の特徴、ケアの方法まで、幅広い知識を習得できます。
- 資格手当がもらえる:資格手当が支給される施設が多く、収入アップにつながります。
- 就職に有利:初任者研修修了者は、介護に対する意欲や基礎知識があることの証明となり、介護業界での就職活動において有利になります。
- キャリアアップにつながる:初任者研修(またはヘルパー2級)の資格を持っていると、介護福祉士実務者研修の一部科目が免除され、その後のキャリアアップがスムーズになります。
以上のメリットを活かすため、初任者研修を取得し、介護の現場で経験を積みながら、さらなるキャリアアップを目指すことをおすすめします。
実務者研修との違いは?キャリアアップの道筋
実務者研修は、初任者研修の上位に位置づけられる資格です。初任者研修は、介護の基礎を学ぶのに対し、実務者研修は、介護福祉士に必要な知識やスキルを習得します。また、訪問介護では、サービス提供責任者として働くことも可能です。
キャリアアップの道筋は、以下の通りです。
①まず、初任者研修を取得する
②介護現場で経験を積みながら、実務者研修を修了
③3年以上の実務経験を積んで、国家資格「介護福祉士」の受験資格を得る
④試験に合格し、介護福祉士として勤務する
初任者研修を修了せずに、実務者研修を受講することも可能です。しかし、実務者研修の受講には、「介護に関する基礎的な知識や技術を身につけていること」が前提となります。よって、まずは初任者研修を修了し、キャリアアップを目指していくのがおすすめです。
初任者研修取得者が次に目指すべき道とは?
初任者研修とヘルパー2級は、どちらも介護の基礎を学ぶための入門資格です。ヘルパー2級は、2013年に制度が廃止され、現在は初任者研修に一本化されています。そのため、これから介護の資格を取得するのであれば、初任者研修を目指しましょう。
介護職としてキャリアアップを目指すのであれば、初任者研修を取得後、実務者研修へとステップアップしていくのがおすすめです。
資格取得後のステップアップ
資格 | 取得要件 | 役割 |
介護職員初任者研修 | なし | 基本的な介護業務 |
実務者研修 | 初任者研修修了+450時間の講習 | 介護計画の作成、たん吸引などの医療ケア |
介護福祉士 | 実務経験3年以上+国家試験合格 | 介護の専門職、指導者的役割 |
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