介護職は大変そうなイメージがありますが何故大変だと言われているのか
今回は実例を交えて介護職が大変だと感じていることや、介護職のやりがいやメリットなどを紹介します。これまで自分が持っていたイメージと比べながら読んでみてください。
Contents
介護職が大変と感じる理
下記では介護職ならではの仕事をするうえで大変だと感じるポイントを、まとめました。
体力的な負担
介護職は身体介護を行います。介護サービス利用者様を支える等体力が求められる一面もあります。また、夜勤シフトで生活リズムの調整が難しく、体力に大変さを感じやすいと言えるでしょう。夜勤時の過ごし方、身体介護での身体の使い方など身心のケアが必要です。
夜勤の大変さ
介護職は夜勤を行う場合がある為、日中と違い夜間は業務量が少ないなど利点もありますが、生活のリズムが崩れると疲れがなかなか軽減できません。
夜間に介助が必要な方や認知症で目が離せない方がいる場合、眠たい中、精神的に大変だと感じる状況に置かれることもあります。
身体介助
移動や着替え・入浴・排泄・食事など、介護が必要な方には思うように体が動かせず、身体介護が必要な方が多くいます。必要な介護の範囲は一人ひとり異なりますが、要介護度が高くなるほど介護によるサポートの範囲は広くなります。身体介護による膝や腰の痛みなどの体の不調を訴える介護者の方も少なくありません。自分より体の大きい方の介助を行わなければならない場合もあり、介護による身体の負担から大変さを感じることがあります。
精神的な負担
介護職による精神的に大変さを感じる場面も存在します。日々の業務や夜勤など身体的な負担は精神的な負担にもつながります。
介護業務を行う際、始めは慣れない介護へのプレッシャー等不安を感じることもあります。
他にも難聴など介護を受ける方とのコミュニケーションが難しい方、認知症の方との介護では、コミュニケーションが難しく介護者の精神的な疲れもたまってしまいます。相談や気持ちの切り替えを行うことが重要です。
人手不足
介護業界は、慢性的な人材不足に悩まされています。そのため人員が最低限の職員しかいない介護施設の場合1人当たりの業務量が多く大変だと感じます。ただ、人材定着に向けて待遇改善や研修・教育に力を入れている施設も多くあります。そういった施設を見極めて就業先を決めることが大切です。
給料の問題
介護職に体力的・精神的な大変さを感じる方は、自身の業務内容・量に対して給与がみあっていないと感じる方も中にはいます。しかし、最近では介護職の待遇改善の施策を国が行っている為、給与待遇面の大変さは改善傾向にあります。
人間関係の悩み
介護現場では幅広い年代が働いており、介護職員同士の人間観家に大変さを感じる方もいます。さらに、職場の同僚以外にも介護施設利用者やその家族との関係構築を難しく感じる介護職員もいます。
介護職の仕事内容とその大変さ
介護職が大変だというイメージがありますが
実際にどのような仕事をしているのか以下でご紹介します。
身体介助
身体介助では主に食事介助・入浴介助・排せつ介助等利用者さんの身体に触れる介護を行います。
食事介助
食事を食卓に運んだり、食べることが難しい人に対しての支援です。具体的には、配膳や片付け、食事を口に運んだり、飲み込むまで見守ります。その人の飲み込みの能力を見極めて、適宜飲み込みやすい形状にすることや、摂取量を確認することなども食事介助です。
排泄介助
自分で排泄することが難しい人に対し、必要な支援を行います。トイレでの動作が難しい場合はその介助を、おむつ等を着用している人には排泄のタイミングで可能な限りトイレで排泄できるよう促したり、汚れたおむつの交換をしたりします。
入浴介助
自力での入浴が難しい人に対して支援します。衣類の着脱や浴室内の移動、洗身・洗髪、浴槽に溺れないように見守り等が含まれます。入浴時は転倒や体調の変化が起こりやすいため十分な注意を要します。
生活援助
掃除、洗濯
掃除や洗濯は、衛生的で心地よい環境を作る上で重要です。まず、ご本人が過ごしやすい環境かどうかを確認します。掃除が必要であれば、利用者の能力を考慮して必要な援助を判断し、洗濯は干して取り込み、畳んで収納という行程の中で、必要な部分をサポートします。
買い物
自力での買い物が難しい人に対して支援を行います。欲しいものを聞いて介助者が一人で買い物する場合と利用者と買い物に行き、支払いなど見守りを行う場合があります。施設の種類によっては買い物の支援は含まれないこともあります。
調理
栄養バランスや好み、体調、飲み込みの状態等を考慮し、調理を行います。職場によっては栄養士等が専門で担当するケースもあります。また、グループホームや小規模多機能型居宅介護等では利用者と一緒に調理をすることもあります.
レクリエーション
利用者の方に楽しんでもらうことや身体や脳の機能維持のため、レクリエーションを実施します。「何を目的としてどのようなレクリエーションを実施するか」を考えることが重要です。
介護職の現場での対策方法
介護士の仕事がきつい時は、以下のように適切に対処することで負担を軽減できる可能性があります。
体力面の対策
夜勤や早出など変則的なシフトがきつい時は、日勤のみの勤務に変更してもらうと負担を軽減できます。
難しい場合は、夜勤の回数を減らしてもらえるか相談してみましょう。
介護技術を学ぶことで身体への負担を軽減することができます.
精神面の対策
きついと思った時はまず、同じ施設の職員や家族など、信頼できる周囲の人に相談してみましょう。
思いを言葉にすると、すっきりして気持ちを切り替えられることもあります。
似たような経験のある職員がいれば、アドバイスや対処方法を教えてもらえる可能性がありますし、親しい人に相談するだけで気持ちが楽になることもあるでしょう。
また、初任者研修や実務者研修などの資格取得講座に参加すると、受講生同士で横のつながりができ、不安や悩みを共有できることもあります。
人手不足への対応
現在介護職の離職傾向は緩やかになってきており、2015年の離職率が20.3%に対し、2019年は18.2%まで減少しています。各施設で人材定着のための施策が実施されており、介護職の処遇改善や職場環境が整備されつつあることが要因として挙げられます。
給与交渉
この悩みについては、男女で違いがあります。男性の場合、介護士としての給料面やキャリアアップに対する不安が大きく、離職理由にもなりやすいようです。ただ、介護士の処遇面については、年々改善されてきており、給料も年々上昇傾向にあります。収入を増やしたい時は夜勤を増やすのがおすすめです。夜勤は賃金が1.25倍になる深夜割増賃金が適用されたり、別途夜勤手当が支給されたりするため収入アップにつながります。
人間関係の改善
人間関係や体力面できついと感じている時は、上司に配置の変更をお願いしてみるのも一つの方法です。同じグループ内でも配置を変えるだけで、苦手な人と関わらなくて済んだり、体力的な負担が軽くなったりすることもあります。特に人間関係の悩みは、一人では解決できないことも多いです。
夜勤の工夫
夜勤が大変なら、デイサービスや夜間対応のない訪問介護事業所がおすすめです。デイサービスは基本的に日帰りでサービスを提供するため、宿泊ありの施設でなければ夜勤はありません。
訪問介護も、深夜の巡視など夜間対応を行う事業所でなければ、夜勤はありません。
基本的に午前8時~午後5時などの日勤帯のみで勤務時間が固定されるため、生活リズムが整いやすく、身体的な負担を軽減しながら働くことが可能です。
先輩介護士の声
介護職経験者Hさん紹介
Hさんは30代女性で、介護職員経験年数は5年です。
介護施設で、要介護者に対して食事や着替えなど身の回りのお世話や、レクリエーションなどの仕事をしてきました。
人の役に立てる仕事のため介護職はやりがいをもてる一方で、人手不足で1人が担当する業務が多く、体力的につらいと感じることもあるようです。また、職場では少なからず離職する人もいたとのことです。
Hさんも大変な仕事のため辞めたいと考えたことがあったようですが、考え方を変えることで現在も介護職として頑張って働いています。
これから介護職に就こうとしているなら、Hさんの体験談は役立つのではないでしょうか。
仕事の大変さはもちろん、介護職で転職経験のあるHさんの経験を参考にしてみてください。
介護職経験者が語るきついこと3選
介護職は人との関わりがメインとなるため、きつい仕事が多数あります。
Hさんが介護職できついと感じたのは、排泄・食事・コミュニケーションだそうです。
実際にどのような面がきついと感じるのか、経験者の声を見ていきましょう。
1.介護職は排泄の仕事がきつい
どの介護施設においても、排泄のケアは避けて通れない重要な業務です。Hさんも最初は非常に戸惑いと葛藤を抱えていたそうです。
Hさんは排泄の仕事になじむまでに時間を要し、特にニオイや光景に対する抵抗感を感じていました。自分の子供のおむつ交換の経験があるものの、高齢者の場合は色々な食事内容からくる変化にも直面することになります。その違いは明らかで、心の中で仕事として受け入れつつも、きつさが否応なくあると彼女は語ってくれました。
Hさんが取り組んでいる方法は、息を止め、呼吸を最小限にとどめることです。また、直視を避けることも大切だそうです。彼女は利用者の方々に対して申し訳ない気持ちを抱えつつも、5年の経験があるにもかかわらず、その感覚にはなかなか慣れることが難しいそうです。
介護職に興味はあるけれども、排泄のケアに対する不安を感じる人は多いかもしれません。しかし、Hさんの経験からは、工夫と前向きなアプローチによってそれを乗り越えることができることが伝わってきます。
家族に対するケアとは異なり、介護施設では見知らぬ方々のお世話をする必要があります。しかし、逆にそれが仕事だからこそできる業務だと受け入れつつ、他のどんな仕事でも辛さはつきものという視点を持つことで、介護職への前向きな気持ちが芽生えると思います。
2.介護職は食事介助がきつい
食事介助はときには無理に食事を食べさせなければならない場面もあり、Hさんはその点に心苦しさを感じています。
Hさんにとってきついのは、普通の食事が摂れない利用者に対して流動食を提供するときです。
食事を摂るためにはミキサーでドロドロにしないと食べられないので仕方がないのですが、利用者は明らかに美味しいとは思っておらず、むしろ苦しそうな表情をされることもあるそうです。時には嫌がって涙を流すこともあるため、Hさんにとっては心が痛む瞬間だと教えてくださいました。
状況によっては、利用者に無理強いしているように感じられ、そのために自分が利用者をいじめているような気持ちになることもあるそうです。
相手のためであると理解しつつも、辛さからくる気持ちから、何度か介護職を辞めたいと考えたこともあると言っていました。
食事を通じ栄養を摂ることは体力維持にとって極めて重要です。その過程での葛藤やきつさも介護職に従事する人々が直面する難しい側面の一つですが、利用者のためであるという気持ちで取り組むことが重要です。
3.介護職は信頼が得られないのがきつい
介護施設では認知症の利用者もいるため、コミュニケーションを取るのが難しいとHさんは語ってくれました。相手の気持ちを尊重して丁寧に説明はしますが、相手が理解してくれずに、利用者から信頼してもらえないのがつらいと言います。認知症の利用者は、ときにHさんが傷つくことを言うこともあります。「あんたなんて嫌い!」と何度も拒絶されることもあるのだとか。そういった利用者と信頼関係を築くのは難しいそうで、その日によって態度もコロコロ変わるため、対応が難しいとHさんは言っていました。Hさんはそんなとき、いつも自分の対応が悪かったのだと自分を責めてしまうそうです。
しかし、認知症は一つの病気と割り切って考えることが重要です。
介護職経験者が語る仕事がきついときにどうしたか
Hさんが介護の仕事でつらいと感じたとき、実際にどう対処したのか聞いてみました。
介護の仕事を辞めるのではなく、別の方法を選択することでうまく乗り越えたそうです。
1.介護職がきつい!「嬉しい面を重視してみよう」
Hさんは仕事がつらいと感じることもあるのですが、利用者から感謝の言葉を聞けるときには、嬉しさを感じるそうです。
無理やり食べさせなければならない利用者から直接「ありがとう」と聞くことはなくても、別の利用者から「あなたがいてくれてよかった」との言葉をいただくことがあり、その瞬間は最高の喜びを感じることがあるそうです。
介護の仕事ではつらいことばかりに目を向けるのではなく、利用者やご家族から感謝されたことが励みになり、少しは気持ちが楽になるとHさんは語ってくれました。
2.介護職がきつい!「相手の気持ちを考えてみよう」
利用者からの暴言や拒否があったとき、Hさんは相手の気持ちを考えるようにしているそうです。
信頼関係を築けずつらいと感じるのは、自分の視点での捉え方です。
しかし、利用者が拒否するのは、彼ら自身を守ろうとするためだと、先輩からの教えを受けて考え方を改めるようにしたとHさんは語ってくれました。
また、「介護の仕事を終えなければならない」という焦りの気持ちは、利用者にも伝わってしまうそうです。
人手不足の職場では、ワンオペも少なくないため、焦る気持ちも理解できます。
しかしながら、相手も人間です。だからこそ、Hさんは利用者がこちらの気持ちを感じ取ることもあると理解し、冷静に仕事に取り組むことを心掛けているとのことです。
3.介護職がきつい!「職場を変えてみよう」
Hさんが介護の仕事を好きになるきっかけとなったのは、職場を変えたことだそうです。
職場を変えると、利用者の介護度合いに変化が現れるため、自身の負担も軽減され、つらい瞬間も減っていったようです。
職場の変更には、例えばデイサービスからグループホームへの移動が挙げられます。
デイサービスでは多様な利用者に接することがありますが、グループホームでは同じ利用者たちと長い時間を過ごすため、コミュニケーションをより深めていけるでしょう。
また、グループホームに入所する利用者は認知症と診断された方々が多いですが、それでも家事などを自分で行うことができるため、家庭のような雰囲気が漂います。
大人数の対応が求められる施設で、1人ひとりに十分な時間をかけることが難しいと感じている場合には、グループホームでの働き方が適しているかもしれません。
4.介護職がきつい!「働き方を変えてみよう」
夜勤がない職場に変える方法もひとつの対策です。
夜勤は少ない人数での勤務が多いため、仕事が大変だと感じる方もいるでしょう。
時間帯によってはナースコールが鳴りっぱなしになり、1人で対応しきれずストレスを感じることがあるでしょう。
それに対して、夜勤がない職場なら、1人で不安な思いをすることもなく、医師や看護師の手も借りられるため安心して仕事ができるはずです。
介護の仕事でつらいのは、何でも1人で抱え込んでしまうことです。
複数の人々のサポートが得られる働き方なら、大変なことは助け合えるため、介護の仕事を楽しく続けられるのではないでしょうか。
介護職に就くメリット
介護士は決してきついだけの仕事ではありません。ここでは、介護士のやりがいやメリットについて詳しく解説します。
キャリアアップのしやすさ
介護業界では人材定着のため、国を挙げたキャリアパス制度が整備されてきています。
キャリアパスとは、職位や役職に就くまでに積む経歴(キャリア)や道筋(パス)のことです。
介護士は業界未経験・資格なしで就職しても、段階的なスキルアップが可能。一からキャリアを形成でき、経験を積めばリーダーや管理職も目指せます。
また、キャリアパスによって自分のやるべきことや目指すべき道が明確になるため、モチベーションを高めながら仕事に取り組むことができるでしょう。
無資格からのスタートが可能
介護士は人手不足のうえ、介護を必要とする高齢者は全国にいます。そのため、介護士として経験を積めば、一度職場を辞めたとしても転職や再就職がしやすいでしょう。正社員だけでなく非常勤やアルバイトの募集もあるため、ライフスタイルの変化に合わせて働けるのも魅力です。
感謝の言葉を聞く機会
介護の仕事のやりがいとして「感謝の言葉を受けること」という意見が多いようです。
「介護を必要としている人」とは「日常生活を送るのに困っていることがある人」なので、支援することで感謝の言葉を受けることが多い仕事と言えます。利用者やその家族から感謝の言葉を受けて、「人のために役立つ仕事」「社会のために役立つ仕事」という誇りを持って働いている人が多いようです。
まとめ
介護職は、確かに大変でつらい面が多数あります。人によっては辞めたいと考えるかもしれませんが、人の役に立てる尊い仕事だという認識をもつようにしてください。
介護は機械やAIには変われない仕事で、今後ますます必要になると言えます。その中で、あなたが提供するサポートやケアは人間同士の温かいつながりを築く重要な役割です。
また、現在の介護職で悩みやストレスがあるなら、一人で抱え込まないようにしましょう。他人のために役立つことも重要ですが、自分自身を大切にすることも必要です。あなたが健全であることは、利用者さんにとってもプラスとなるでしょう。
もし、今の職場がつらいなら、転職や働き方を変える方法も考えてみてください。時間がないなどの理由で自分一人での転職が難しければ、転職コンサルタントを利用すれば、あなたに合った転職先を見つけるサポートを受けることが可能です。自分のことも大切にしながら、介護職を続けていけることを願っています。
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