介護職の退職理由とポジティブな転職への道

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介護職の退職理由とポジティブな転職への道

介護職退職の背後にある問題とチャンス

「自分にはここしかない」と決めた就職先でも、途中で辞めたくなることもあるものです。

仕事内容が理想と違った、結婚や出産をきっかけに、新たな目的ができたなど、さまざまな理由で退職をすることもあるでしょう。

 

介護職員が退職する理由は何なのでしょうか?

 

また、退職することで、今までと違う新たな可能性も生まれます。

 

退職後はどのようなキャリアの可能性があるのか、具体的なエピソードとデータをもとに、介護職の退職とその後の転職について詳しくお伝えします。

 

この記事を今後のキャリア形成の参考にしていただければ幸いです。

 

 

介護職の退職理由とは何か

介護職の退職理由として、身体的・精神的の両方における高い労働強度や賃金、職場環境、さらにキャリアパスの不明確さなどが挙げられます。

ここでは、現場からの声をもとに、具体的な退職理由についてお伝えします。

 

具体的な退職理由:現場からの声

快適な職場で、楽しくやりがいを持って仕事ができないと体だけでなく心も疲れてしまうものです。

 

静岡県在住の「里美さん」は、地元の介護施設に勤務していました。

しかし、12時間以上の長時間労働に体はへとへと。

しかも休日は月に3日程度という過酷な労働環境下で働いていました。

 

長時間の拘束は精神的にもつらいものです。

里美さんは休憩もほとんど取れないまま仕事をし続け、疲労を回復することもできず毎日疲れた体で働いていました。

 

心身ともに疲れが溜まれば、仕事にも影響します。

ミスも起こりやすくなり、気持ちに余裕を持てないためイライラしてしまうことも多く、反省の日々。

 

介護職としての仕事にやりがいを感じながらも、苦しさが先立ってしまいました。

賃金とのバランスを考えても、職場に魅力を感じられなくなりました。

苦しさに見合った報酬かどうかに疑問を抱き、その結果、退職を決意したのです。

 

退職を引き起こす要素:労働環境と賃金問題

労働環境と賃金のバランスは、大きな退職理由の一つです。

里美さんの場合も、過酷な労働条件と比較し、賃金が見合っていないと感じたことが退職につながりました。

 

介護職はやりがいのある職業です。

しかし、身体に負担のかかる業務も多く、責任の重さから精神的負担も大きなもの。

その負担を軽減する職場環境がないと、やりがいを持って仕事をすることができません。

 

給料やボーナスは励みの一つになることも少なくありません。

過酷な労働条件で働いているのに、それに見合った賃金もないとなれば退職を考えるのもやむを得ないでしょう。

 

このような状況は珍しいことではありません。

全国の介護現場で多く見られることであり、大きな課題の一つとなっています。

 

データで見る介護職の退職理由

統計データからも介護職の転職理由を見ていきましょう。

を見ると、退職理由として最も多いのが「職場の人間関係に問題があったため」(18.8%) です。

 

どういった職場でも人間関係の問題は避けられないものです。

特に過酷な労働環境の中で働いていると、気持ちに余裕がなくなってしまいます。

体が疲れていれば、なおのこと。

 

厳しい労働環境の中でストレスが生じ、気持ちのコントロールがきかなくなることで人間関係にも悪い影響を与えてしまうのです。

 

退職理由として次に多いのが、「結婚・出産・妊娠・育児のため」(16.9%) 、「自分の将来の見込みが立たなかったため」(15.4%) です。

 

特に女性は「結婚・出産・妊娠・育児のため」(20.7%) が最も多い退職理由で、介護職と育児の両立が難しいということがわかります。

 

さらに、介護支援専門員の退職理由として多いのが、「新しい資格を取ったから」(21.2%) 、「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」(17.9%) です。

 

介護職のプロとしてのキャリアを高めたいという意識が高い傾向にあるにもかかわらず、職場がそれに適していないといった理由で退職する人が多いということです。

特にキャリアアップを目指す介護職にとって、職場の理念や運営に満足できないということも、退職の要因の一つとなります。

 

介護職で働く女性が直面する特別な課題

 

データを見てもわかるように、介護と育児・家事の両立は簡単なことではありません。

また、女性介護職員特有の職場環境の問題もあります。

介護職として働く女性が直面する特別な課題について解説します。

 

子育てと介護職の両立:現実の課題

介護の仕事に就いている女性が、育児と家事、仕事の両立に悩んでいるケースは少なくありません。

亜矢子さん(43歳既婚・女性)も介護職と育児の両立に四苦八苦している一人です。

 

彼女は介護の仕事をしながら、10歳と5歳の二人の子どもを育てています。

勤務はシフト制で、休みにくい職場であるため、子どもの学校行事があってもなかなか行けません。

 

子どもが急に熱を出しても、代わりにシフトに入ってくれる人を探すのも一苦労。

見つからなければ、周りに迷惑をかけるのを承知で早退しなければならず、それもストレスになります。

 

労働時間が長く、家族と過ごす時間もほとんどない状態で、体への負担も大きく疲労も溜まるばかりです。

疲れているせいか、家の中でも怒ってばかりいる自分にうんざりすることも。

 

子どもにはまだ手がかかるし、自分の時間も持てない生活に疲れてしまうとなれば、退職を考えるのも無理はないでしょう。

 

このような状況は女性の介護職が退職を選ぶ大きな要因となっています。

 

女性介護職員が感じる職場環境の問題点

人間関係が原因で退職するケースも多いものです。

介護の現場で働くミナさん(38歳既婚・女性)は、人間関係に問題があったために退職を考えています。

 

人間関係がうまくいっていないと、精神的に大きなストレスになります。

もちろん人と人が接する環境ではそれぞれの人間性も関係しますが、ミナさんの職場のように残業が多い、人手が足りないなど職場環境が悪いとスタッフも精神的に余裕がなくなり、相手を思いやる気持ちになれないこともあるものです。

 

ミナさんの働く職場は、ただ働き続けることだけが求められるため、そこで働くスタッフの働きやすさへの配慮など考えてくれていない、と感じてしまうのです。

 

疲労やストレスに加え、職場への不満などが人間関係のこじれにつながっていく、とミナさんは語ります。

 

それでなくても介護職は重労働です。

職場においてスタッフの身体的・精神的負担を軽減する業務改善や賃金アップなど、働きやすさを考えた環境づくりをしてくれなければ、勤務先への不満が溜まっていく一方でしょう。

 

職場のストレスや家庭との両立で苦しんでいるところ、快適に働けないとなればミナさんが退職を考えるのは当然のことと言えます。

 

ミナさんのように法人や施設・事務所の理念や経営方針に不満を持っているケースは少なくありません。

女性が介護職を続けるためには、職場における労働環境の改善が必要です。

 

 

退職後の新たな選択:前向きな転職への道

現在の職場が自分にとってプラスになることがなく、不満を抱えているなら転職をするのも選択肢の一つです。

新しい道を選ぶことで、生活が改善するだけでなくキャリアアップを目指すこともできるでしょう。

 

退職:新たなキャリアチャンスへの第一歩

介護職からの退職は必ずしもネガティブなことではなく、新しいキャリアチャンスを得られるきっかけとなることもあります。

 

退職すれば給料は入ってこなくなり、辞め方によっては周囲に迷惑をかけることもあるでしょう。

辛抱が足りないのでは?と自問自答することもあるかもしれません。

 

しかし、現在の職場の労働環境が変わったり、キャリアアップできる要素があったりするなら別ですが、そうでない場合はより自分の希望をかなえられる職場を探す方がよいのではないでしょうか。

 

将来を見据えた転職は、自分を成長させるチャンスとなるでしょう。

 

具体的な成功例:恵美子さんの場合

以前、介護施設で働いていた恵美子さん(46歳既婚・女性)は、職場での人間関係と家庭との両立に悩み、退職することにしました。

 

退職後、恵美子さんは以前から興味のあった介護関連の資格取得の勉強を始め、見事合格し、現在は在宅介護のコーディネーターとして仕事をしています。

退職したことで自分のペースで学習でき、また就職活動にも集中することができたようです。

 

現在の職場は仕事と家庭の両立がしやすく、やりがいを持って仕事に励むことができる環境です。

恵美子さんのように退職をしたことで新たなスキルを身につけ、自分のライフスタイルに合った仕事を見つけられることもあります。

 

恵美子さんのように絶対成功するとは限りませんが、退職はそのきっかけを作ることができるでしょう。

 

退職後のキャリア選択のポイント

退職をしたからといって、そこでキャリアが終わるわけではありません。

むしろ、新たな資格を取得し、より専門分野で働くことができる可能性や、今までとは違った形で仕事ができる可能性もあります。

 

自分がどのようなキャリアを積み、どのようない仕事がしたいのかによって、またはどのような生活スタイルで仕事をしていきたいのかによって、選択する道は異なります。

 

退職した理由を振り返り、自分はどのような形でどのような道を歩みたいのか、自身のキャリアや人生について改めて考えてみましょう。

 

まとめ:介護職の退職とポジティブな転職の可能性

介護職からの退職は、新たなキャリア形成や自身に適したライフスタイルでの働き方を選択できるチャンスです。

退職後はどのような生活をしたいのか、またどのような仕事がしたいのか、しっかり自己分析をしたうえで、これまでの経験を生かす道を探しましょう。

 

そのためにも、転職コンサルタントや転職求人サイトを利用してみるのがおすすめです。自分だけでは入手できない情報を得られたり、あなたのスキルやキャリア、志向を深く理解し適した転職先を提案してくれます。

 

転職求人サイトなら、自分の希望する条件にマッチした仕事を簡単に検索でき、さまざまな求人情報を一目で把握することも可能です。

 

介護業界内でのキャリアアップを視野に入れるなら、介護施設の施設長など管理職に挑戦するのも選択肢の一つです。

管理職は責任も大きくなりますが、運営や管理のほか、スタッフの指導や育成、施設のサービスの質の向上など、幅広い業務に携わることができます。

 

また、専門分野を極めることもキャリアアップにつながります。

特定の分野の技術や知識を深め、資格を取得して求人を探すのもよいでしょう。

少しでも興味のある分野があれば、勉強をしてみるのもおすすめです。

 

介護職の退職は新しいキャリアパスを描くことが可能です。

自分自身の価値を再認識し、適切なサポートを利用すれば希望に合った転職も不可能ではありません。

そのためにも、積極的に次の一歩を踏み出しましょう。

 

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