
介護施設の仕事は「大変」と言われがちで、転職や就職を検討する中で不安を感じる方も少なくありません。
しかし、その大変さは一律ではなく、業務内容や勤務形態、給与条件のどこに負担を感じるかによって大きく異なります。
本記事では、介護職の業務内容ごとに大変だと感じやすいポイントを整理し、自分にとって無理のない働き方を考える手がかりを整理していきます。
Contents
介護施設で大変だと感じること
介護の仕事が「きつい」と感じやすい業務には、いくつか共通する特徴があります。
それは、身体的な負担が大きいこと、常に気を張る場面が多く精神的な緊張が続くこと、そして一つひとつの判断や対応に責任が伴うことです。
利用者の安全や生活に直結する業務が多いため、気疲れやプレッシャーが積み重なり、「思っていた以上に大変だ」と感じる人も少なくありません。
ここでは、介護職が現場で特に大変だと感じやすい代表的な業務について取り上げ、どのような点が負担になりやすいのか、その悩みを感じにくい施設・働き方をあわせて紹介します。
食事介助・排泄介助・入浴介助
食事介助・排泄介助・入浴介助といった身体介助は、介護職の中心となる業務です。
一方で、中腰姿勢になる業務や移乗動作などの力仕事も多く、日常業務であるものの体力の消耗が大きい作業になります。排泄介助では臭いや汚れへの抵抗感、入浴介助では高齢者の転倒リスクや夏場の暑さなど、複数の負担が重なります。
人手不足が背景にあり、休憩もまともに取れないまま流れ作業のように業務が進む状況もあり、精神的な負担にもなることもあります。
体力に自信のない人
- デイサービスや、自立度の高い利用者が多めの施設
見守りや軽介助が中心で、排泄・入浴の全介助が少ない傾向があります。
排泄介助が特に苦手な人
- 訪問介護(生活援助中心)/サービス付き高齢者向け住宅
排泄の全介助が少なく、声かけや見守りが中心になるケースが多いのが特徴です。
入浴介助が特に苦手・不安な人
- 入浴設備が整った施設(機械浴導入施設)/訪問介護(入浴介助を選ばない働き方)
機械浴がある施設では身体的負担が軽減され、訪問介護では入浴介助を行わない働き方を選ぶことも可能です。
レクリエーション対応
レクリエーションは利用者の生活の質を高める重要な役割を担っていますが、実際には仕事量が意外と多く、負担を感じやすい業務の一つでもあります。
利用者ごとに身体機能や認知機能に差があり、全員が楽しめる内容を考えるのは簡単ではありません。
企画を考えるプレッシャーや、たくさんの人の前で進行することへの苦手意識、「盛り上げなければならない」という空気が、司会進行が苦手な人には特にストレスに感じてしまうようです。
レクリエーションや大勢の前での進行が苦手な人
訪問介護や小規模施設では、集団レクリエーションの頻度が低いケースが多く、個別対応が中心です。
どうしてもレクリエーションを避けたいのであれば訪問介護がおすすめです。
夜勤
夜勤は、介護施設の仕事の中でも特に大変だと感じる人が多い勤務形態です。
生活リズムが乱れて、昼夜逆転のような生活が続くと慢性的な疲労や睡眠不足につながり、体調管理が難しくなります。
また、夜間は少人数体制になることが多く、トラブルの対応や判断を一人で担う場面もあります。
責任の重さと緊張感が続くことが、夜勤の大きな負担となります。
夜勤を避けたい人
夜勤を避けたい場合は、デイサービスや訪問介護など、日勤のみの職場が選択肢になります。
家庭やプライベートとの両立を重視したい人にも向いています。
介護施設の給与面で大変だと感じること
介護施設の仕事では、業務内容だけでなく給与の仕組みそのものに不安や不満を感じる人も少なくありません。
特に多いのが、「働いている割に収入が伸びにくい」、「求人票で見た条件と実際が違うと感じる」、「仕事量の割に給与が少ない」といった声です。
介護職の給与は、大まかには基本給・各種手当・賞与や処遇改善手当を組み合わせた構造になっており、どこが手厚く、どこが弱いかは施設によって大きく異なります。
そのため、自分が重視しているポイントと合っていない職場を選ぶと、後から「思っていたのと違う」と感じやすくなります。
以下では、介護職の給与面のポイントを項目ごとに整理します。
基本給
介護職でまず不満が出やすいのが基本給です。
求人票では月収がそれなりに見えても、内訳を見ると基本給が低く、手当でかさ上げされているだけというケースは珍しくありません。
そのため、夜勤が減ったり、体調や家庭の事情でシフトを調整すると、一気に収入が下がることがあります。
また、基本給が低いと昇給幅も小さく、「何年働いても給料があまり変わらない」「年齢を重ねても生活が楽にならない」と感じる人も多いのが実情です。長く続けるほど、この点が不安材料になりやすい項目です。
【おすすめの施設・働き方】
基本給を重視したい人は、法人規模が大きい施設を選ぶのが一つの方法です。
給与体系が比較的安定しており、基本給が低すぎない傾向があります。
ボーナスや処遇改善手当
ボーナスや処遇改善手当は、施設ごとの差が非常に大きく、分かりにくいという声が多く聞かれます。
「処遇改善加算あり」と書かれていても、毎月支給なのか、賞与にまとめて支給なのか、金額がどの程度なのかは入職前に見えにくいことがあります。
実際に働き始めてから、「思っていたより少ない」、「他の職員と差がある理由が分からない」と不満を感じるケースもあります。
収入の安定性を重視する人ほど、ストレスを感じやすいポイントです。
【おすすめの施設・働き方】
処遇改善手当を重視したい人は、処遇改善加算の取得状況を明確に開示している施設がおすすめです。
面接時に「支給方法・時期・金額の目安」を具体的に説明してくれる職場は、安心感があります。
資格手当
介護業界では資格が評価に直結しやすい一方で、資格を取らないと給料が上がらない構造に不安を感じる人もいます。
無資格・未経験のうちは給与が低く、「同じ仕事をしているのに資格があるだけで差が出る」と感じることもあります。
しかし、資格手当の金額は数千円程度のことも多く、「時間とお金をかけて取得したわりに、思ったほど給料が増えない」という声も少なくありません。
資格取得がプレッシャーになる人にとっては、負担感が強くなりやすい項目です。
【おすすめの施設・働き方】
資格取得の負担を減らしたい人は、資格取得支援制度が整っている施設や、無資格・初任者研修でも業務内容が限定されている職場を選ぶのが現実的です。
資格取得を前提に、段階的に評価してくれる環境なら、プレッシャーも軽減されます。
まとめ|自分にあった介護施設を見つけて働くには?
介護施設の仕事について調べていくと「大変」「きつい」といった声が多く、不安を感じるのは自然なことです。
実際、身体的・精神的に負担がかかる場面は避けられず、「大変だ」と感じることが多いのも事実です。
ただし、介護の仕事は誰にとっても同じように大変なわけではありません。
何を負担に感じるかは人それぞれであり、だからこそ働きやすさも人によって変わります。
自分はどんな働き方を望んでいるのか、どんな業務や条件を大変だと感じやすいのか。まずは自身の希望や悩みを整理することが、職場選びの第一歩です。
そのうえで、業務内容や勤務形態、給与の仕組みが合った介護施設を選べば、無理なく続けられると感じる人も少なくありません。
実際、介護の仕事を続けている人の中には、「大変だけれど、それでも介護が好き」、「人と関わるこの仕事が自分に合っている」と感じている人も多いかと思います。
もし今不安があっても、それは向いていないからではなく、まだ自分に合う環境に出会っていないだけかもしれません。
介護職は決して楽な仕事ではありませんが、選び方次第で負担を減らし、自分らしく働ける余地のある仕事です。
不安を感じている今こそ、自分に合った職場を見つけるための大事なスタート地点だと言えるでしょう。

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