介護福祉士パート合格制度による特定技能外国人の在留期間延長について解説

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介護福祉士パート合格制度による特定技能外国人の在留期間延長について解説

 

令和7年度(第38回)介護福祉士国家試験から、「パート合格制度」が始まりました。これは、受験者の負担軽減と学習機会の確保を目的にしており、1回の試験で不合格になっても、基準をクリアしたパート(科目群)は、翌年(2回目)受験する際に持ち越せる制度です。つまり、パートごとの合格を何回か重ねれば国家資格を取得できるという制度です。

この制度は、特定技能1号(介護)の外国人材にとって将来に深く関係します。

この記事では、新制度のポイントとあわせて、合格を目指す外国人を支える「特例措置(在留期間の延長)」の概要についても分かりやすく解説します。

 

介護福祉士国家試験の「パート合格制度」とは


介護ニーズの複雑化・多様化が進む中、高い専門性を持つ介護人材の確保・育成は喫緊の課題です。介護福祉士国家試験の重要性は高まっていますが、受験者数は第31回以降減少傾向にあります。まずは、パート合格制度の概要について説明します。

 

パート合格制度の仕組み

試験科目を3パートに分け、一定の基準を満たしたパートは翌年・翌々年(2年)までその科目の受験が免除されます。つまり、1回の試験で全パートに合格できなくても、数回に分けて不合格パートを受験し、最終的に全パートが合格した年度に介護福祉士資格を取得できるというものです。各パートと出題数を確認しましょう。

全体の合格基準はこれまで通り6割程度です。パートごとの合格基準は、全体合格基準を全受験者の平均得点比率で按分した点数以上で、かつ各科目群に得点がある(0点科目がない)こととなっています。

翌年に再受験する際には不合格パートの受験は必須であり、合格パートがない場合は全パート受験、また一部合格している場合は「不合格パートのみ」または「全パート」を選択できる仕組みとなっています。

 

パート合格制度の導入の目的

高齢化の進展により介護ニーズがますます深刻化する一方、介護の担い手の中心となる介護福祉士の合格者数は減少しており、その確保は喫緊の課題です。こうした状況を踏まえ、学習のしやすさと受験者の利便性向上を目的として、合格した科目を次回以降に持ち越せる「パート合格(合格パートの受験免除)」制度が導入されました。

<参考:介護福祉士国家試験におけるパート合格(合格パートの受験免除)の導入について|厚生労働省

 

合格パートの有効期限

合格したパートは、受験年の翌々年までを有効期限として受験が免除されます。

つまり、2026年1月25日の試験で一部パートが基準を満たした場合、2028年度の末までそのパートは合格の権利があるということです。ちなみに2027年の試験でもう一度そのパートを合格すれば2029年度末に引き延ばすことができます。

 

【重要】特定技能外国人に適用される「在留期間延長」の内容


特例措置の概要

ここからは、パート合格制度の導入によって、特定技能1号(介護)で働く外国人にどのような影響があるのかを解説します。

今回の特例措置で特に注目すべきなのは、介護福祉士国家試験の合格を目指す外国人について、一定の要件を満たせば在留期間の延長が認められた点です。

 

対象者

今回の特例措置の対象となるのは、特定技能1号(介護)の外国人です。

特定技能1号(介護)は、一定の技能試験と日本語試験に合格した外国人が、最長5年まで介護業務に従事できる在留資格です。訪問サービス系を除く施設・事業所で就労可能で、受入れ機関にも支援計画の作成・実施など適切な生活・就労支援体制の整備が求められます。

 

いくつかある外国人就労施策の中で、特定技能1号(介護)が対象となった理由は、パート合格制度を導入しても試験水準を大きく変動することなく、段階的な合格制度との相性が良いと判断されたためです。下の表は外国人の就労施策と特徴を比較したものです。

区分 特定技能1号(介護) 特定技能2号 EPA 技能実習 在留資格
特徴 人手不足の解消。5年期限あり。 熟練技能者の長期就労。

介護は非対象

経済連携に基づく人材交流 技能移転

(国際貢献)

有資格者の専門的就労(在留期限なし)

 

なぜ延長が必要なのか

国家試験の受験資格には3年以上の実務経験が必要で、年1回の実施であることを考えると、5年間の在留期限では十分な受験の機会を確保できない可能性があります。つまり、未経験の場合2回しかチャレンジできません。こうした背景から、一定要件を満たす場合に最長1年間在留期間を延長できる特例措置が導入されたのです。

<参考:(通知)パート合格(合格パートの受験免除)の導入に基づく在留期間延長について|厚生労働省

 

在留期間延長を受けるための要件

在留期間延長の特例は、資格取得者の確保や即戦力人材の定着、長期雇用を実現するための仕組みづくりに直結します。

では、具体的な在留期間延長の要件をみていきましょう。

 

対象試験

まず、介護福祉士国家試験を受験していることが前提です。そして、5年の通算在留期間に達する前の最終年度の国家試験において以下の1と2両方の基準を満たす必要があります。

 

  1. 1パート以上合格している者
  2. 総得点に対する合格基準点の8割以上の得点がある者

 

合格実績

対象試験で1パート以上合格しているかどうかは、結果通知や合格証明書により客観的に確認されます。合格したパートは2年間有効とされ、その実績が在留延長審査の根拠となります。

 

継続意思

「継続する意思の有無」も重要な要件です。対象試験で紹介した1,2の試験基準のほかに、以下の二つの要件を満たす必要があります。対象外国人、支援責任者双方の対応が求められます。

区 分 外国人本人 支援責任者(所属機関)
内 容 ●     翌年度の国家試験合格に向けた学習意欲があること

●     翌年度の試験受験を誓約すること

●     学習計画の作成と面談

●     計画書を厚生労働省に提出

<参考:パート合格による介護分野の特定技能外国人の在留期間延長について|厚生労働省

 

申請書類

特定技能1号(介護)の在留期間延長を希望する場合は、次の4点を厚生労働省へ送付しなければなりません。

  1. 確認依頼書
  2. 介護福祉士国家試験結果の写し
  3. 在留カード(表面)の写し
  4. 学習計画

ただし、「介護福祉士国家試験結果」の原本は、翌年度以降の受験時に必要なため本人が保管します。

<参考:介護福祉士国家試験のパート合格(合格パートの受験免除)による介護分野で「特定技能1号」の在留資格をもって本邦に在留する外国人の通算在留期間の延長に関する措置について|厚生労働省

 

受け入れ施設(事業者)側が知っておくべき運用のポイント


パート合格後の学習支援体制の構築

パート合格は、ゴールではなく通過点と捉えましょう。施設側は本人のモチベーションを保つために、学習時間の確保や指導担当者の配置など仕組みづくりを行うことが大切です。

また、組織として資格取得を応援している雰囲気をつくることは、定着促進にもつながります。

具体的な学習支援体制の例を紹介します。

 

実務の中で試験対策をとりいれる

日々の業務と国家試験の出題内容を結びつけていくことが効果的です。例えば、指導者と外国人スタッフがあらかじめ出題傾向や過去問を共有しておけば、現場でのケアの場面において「ここは去年の試験に出ていましたね」「この対応の根拠は押さえておきましょう」といった声かけが可能になります。こうした積み重ねにより、日常業務そのものが学習の機会へと変わり、実務経験がそのまま受験対策につながっていきます。

 

受験回数にあわせた育成方針をたてる

初回受験者と再受験者では支援の重点が異なります。初回は基礎理解の定着を中心に、再受験者には弱点分析と得点戦略を重視するなど、段階に応じた育成方針が必要です。

特定技能1号(介護)では、最大3回しか国家試験にチャレンジできません。個別支援と育成計画が合格可能性を着実に高めることができます。

 

在留資格更新の手続き

在留中に介護福祉士国家試験に合格すれば、特定技能1号(介護)から在留資格「介護」へ移行することができます。特定技能1号(介護)は通算5年という在留期間の上限がありますが、その間に資格を取得すれば、在留資格「介護」への変更申請が可能になります。

在留資格「介護」は更新制ではあるものの在留期間の通算上限がなく、継続して日本で働き続けることが可能な資格です。特徴を比較して表にまとめました。

 

在留資格 特定技能1号(介護) 在留資格「介護」
主な特徴 即戦力人材向け、介護業務に従事するための在留資格 国家資格「介護福祉士」保持者が取得可能な在留資格。
在留期間 通算最大5年 更新制で上限なし
家族帯同 原則不可 可能
介護福祉士取得のメリット 介護福祉士資格取得を目指すことで在留期限延長の特例が適用できる可能性あり 在留期間の制限なく働ける、家族帯同可、永住申請の道が開けるなど安定したキャリア形成が可能。通称「介護ビザ」

 

必要な書類や手続きについては出入国在留管理庁にある「介護」に係る提出書類一覧(在留資格変更許可申請用)」を確認しましょう。

 

参考:在留資格「介護」|出入国在留管理庁

「介護分野で本邦に在留する1号特定技能外国人の通算在留期間の延長に関する基本的な考え方について」|厚生労働省」

 

キャリアパスの提示

人材を育成する施設にとっても、在留資格「介護」への移行は大きなメリットがあります。在留資格は更新により長期雇用が可能となるため、採用や教育にかかるコストを抑えられます。さらに、介護福祉士資格を取得した職員の専門性の向上は、ケアの質の向上や加算の取得、利用者や家族からの信頼向上にもつながります。

また、「特定技能から介護福祉士へ」という明確なキャリアパスを提示することは、外国人材のロールモデルとなり、後進人材への安心感と定着率を高める要素となります。

 

まとめ


特定技能で来日した外国人を育成し、在留資格「介護」への変更によって、より専門性の高い介護福祉士として定着してもらう仕組みは、着実に整いつつあります。

とりわけ、介護福祉士国家試験のパート合格制度は学習継続の後押しとなり、意欲ある人材の挑戦を支える大きな追い風となっています。

こうした制度を活用し、育成から資格取得、長期定着までを一体的に設計することが、これからの人材戦略の重要な視点となるでしょう。

 

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